新曲「軌跡」
【予選2nd 第14ブロック】OTONOVA2026 (オンライン枠)
開催日: 2025/12/06
Schemaの新曲「軌跡」は、静かに語りかけるようなイントロから始まり、聴く人の心にやさしく寄り添う楽曲だと感じました。余計な音をそぎ落としたシンプルなサウンドは、まるで自分自身の胸の内を静かに見つめ直す時間を与えてくれるようで、メロディの一つひとつが丁寧に響いてきます。過去を思い返すときに浮かぶ淡い情景や、あの日抱えた気持ちの揺らぎが自然と重なり、懐かしさと前向きな気持ちが同時に広がっていくように感じられました。
歌詞に込められた「軌跡」という言葉は、ただ足跡を辿るだけではなく、自分が歩んできた時間の重みや、そこにあった感情の全部を受け止めるような優しさを持っているように思います。Schemaの透明感あるボーカルは決して強く主張しませんが、その控えめな表現だからこそ、心の深いところにすっと入り込んできます。言葉と言葉のあいだにある“間”や呼吸までもが感情の一部になっていて、聴くほどに味わいが増す一曲だと感じました。
この曲は聴くシチュエーションによって印象が変わる点も魅力です。夜に部屋を暗くして聴くと、歩んできた道のりを静かに振り返るような気持ちになりますし、朝のやわらかい光の中で聴くと、今日を新しく始められるような前向きさが胸に残ります。Schemaは“どう生きるべきか”を押しつけるのではなく、“今の自分をそのまま認めてあげてもいい”という、あたたかいメッセージを音楽で示しているように思います。
また、二人編成とは思えないほどの奥行きのあるアレンジはありつつも、音で埋め尽くさない絶妙な“余白”が特徴的です。その余白によって、聴き手自身の思い出や感情が自然に重なり、楽曲の世界がより深く広がっていきます。これまでのSchemaの作品と比べても「軌跡」には一段階成熟した空気があり、バンドとしての新しいステージに踏み出した印象を受けました。
聴き終えた後には、不思議と心が軽くなり、自分が歩いてきた道をそっと肯定したくなるような余韻が残ります。「軌跡」は、過去も未来も含めて“今の自分”を抱きしめてくれるような、そんな優しい力を持った楽曲だと感じました。
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