予選突破、魚住春太〈オススメ歌動画紹介〉
ぶいみゅ pre. Vマッチ vol.1 《セミファイナルB》
開催日: 2022/10/28
〈前置き〉
3度目のレポートとなります。魚住春太さん推しの者です。
前回、前々回では魚住さんの内面的、外見的な部分に焦点を当てて書かせていただきました。一人でも多くの方に魅力が伝わり、推してくれる方が増えてくれれば。そんな期待を込めてレポート作成に熱中していたのですが、予選終了後、不意にあることに気がつきました。
「曲をプロデュースしてもらう企画なんだから、参加者の歌声や歌動画の良さが伝わらないといけないだろ」と……
ということで今回のレポートでは魚住さんの歌ってみた動画・オリジナル曲を取り上げて、その魅力を紹介していこうと思います。
様々な歌動画を投稿されている魚住さんですが、今回はそれらを4つの分類にジャンル分けし、軽い説明を踏まえた後に幾つかの動画をピックアップして紹介していきます。かなりボリュームのある内容になってしまいますが、どうか最後までお付き合いくだされば幸いです。
〈歌声について〉
早速紹介していく前に、まずは魚住さんの歌声について軽く触れていきます。
中性的な声色を持つ魚住さんですが、歌う際にもその魅力が存分に活かされており、特に低音と高音の使い分けは絶妙です。また、魚住さんの歌声からは「切なさ」が自然と溢れ出ています。そのため感傷的な曲との相性が抜群に良く、聴く人の心を揺さぶらせます。勿論、そういった曲以外でも、別の魅力を感じることができます。
儚げで無気力で感情的で力強い、共存し難い要素たちを「切なさ」という形で包括させた歌声を体感してみてください。
次から動画紹介に移ります。
〈動画紹介〉
1.歌ってみた
Vtuber活動の中でも特にポピュラーな部類であろう歌ってみたですが、当然ながら魚住さんも多くの動画を投稿しています。歌ってみた動画では曲のミックスや動画内のイラストをミックス師、イラストレーターに手掛けて貰っており、曲の世界観を崩さずに魚住さんの存在が組み込まれている非常にクオリティの高いものとなっています。
加えて、魚住さん自身の動画編集や選曲のセンスもずば抜けています。穏やかな曲調のものや過激な歌詞のものであっても魚住さんの雰囲気と合致する歌を歌われ、歌の世界観をより高めている動画内に施された仕掛けなどから視覚的にも聴覚的にも満足させてくれます。
再生リスト名は「Cover song -Solo-」です。
『エンドレス』
最初に紹介するのはロックバンド、サカナクションの楽曲の歌ってみた動画です。ダンサンブルなリズムでありながらも、ノスタルジックさを感じさせるメロディや歌詞が特徴的なサカナクションの楽曲と魚住さんの歌声が重なり合い、2作目の歌ってみた動画にして切なさという魅力を遺憾なく表したものになっています。サビで低音から高音に変化する心地良さは必見です。
因みに1作目となる歌ってみた動画でも同様にサカナクションの楽曲、ネイティブダンサーを歌われていました。(https://youtu.be/nbhn42m_E6s)
『春を告げる』
昨年の誕生日配信にて先行公開された歌ってみた動画です。エンドレスを悲観的な切なさと捉えるのであれば、こちらは諦観しているがそれと同時に希望も捨てられないままでいる、そんな切なさを歌声に響かせています。気怠さと惰性に塗れた最中、それでも未だに光を求めて手を伸ばそうとしている。聴いている内にそんな情景が浮かんできます。
『爆笑』
先程の2曲とは打って変わって激しい歌詞と曲調である爆笑を歌った動画。魚住さんに合うのかと自分自身も懐疑的な気持ちで始めは再生したのですが、その不安を払拭させるような嘲りと激情が入り混じる歌い方で見事に表現されています。最後の笑い声はもう圧巻です。
余談ですが魚住さんはお笑い好きでもあり、M-1のような賞レースの感想配信も度々行っています。そのことが伝わる仕掛けが動画内に施されているため、そちらにも注目してみてください。
『ENVY BABY』
魚住さんは時折、動画広告を打つことがあるのですが、こちらはその中でも一番再生回数の多い歌ってみた動画です。その再生回数の多さを裏付けている魚住さんの世界へ一気に引き込まれる歌い出しで、初見の方でさえ虜にしてしまいます。ニヒルな雰囲気の曲であるため、こちらも切なさとはまた違った魅力を感じられることでしょう。
そして最新の歌ってみた動画である『シャンティ』では、そのニヒルさに更に磨きがかかった歌声を披露されています。(https://youtu.be/RaVJgmqYPUM)
『だから僕は音楽を辞めた』
最後に紹介するのはヨルシカさんの楽曲を歌われた動画です。最初に書いたレポートにてメインで触れたことになりますが、魚住さんは「やりたいことなんでもやる」をモットーとして様々な活動に着手されています。それは音楽に対しても同様で、歌ってみたのみならず曲制作(追々触れます)にも積極的に取り組んでいます。そんな魚住さんだからこそ、この楽曲に込める感情は生半可なものではなく、抑え切れないやるせなさを無理やり誤魔化すように歌う様はこれまでの創作活動に対して全力で向き合ってきたことが如実に表れています。『間違ってないよな』と自分に言い聞かせるように繰り返し歌う部分、前奏と間奏の際に流れてくる言葉の数々、微かに震えた歌声、動画に詰まっているあらゆる要素から曲そのものの魅力と魚住さんの魅力を存分に感じられます。個人的に一番オススメしたい歌ってみた動画です。
2.UTAUカバー
こちらは歌声合成ツール「UTAU」を用いて魚住さん自身の声を基にした人力VOCALOIDを作成し、楽曲をカバーした動画のことです。UTAUカバーの動画では、動画内のイラストも魚住さん自身が描いているため、魚住春太というボーカロイドを魚住さんがプロデュースしているかのような感覚を覚えます(恐らく筆者のみが感じていることです)。
そしてUTAU音源での魚住さんの歌声についてですが、肉声よりも更に低い低音ボイスとなっています(高い声も出せます)。そのうえ機械的な音声であることも相まって、これまで語ってきた切なさという要素から感情的な部分が無くなり、代わりに冷徹で俯瞰的なものへと変貌を遂げています。単にVOCALOID化しただけではない新たな魅力が生まれた歌声を堪能してみてください。
再生リスト名は「UTAUカバー」となっています。
『グッバイ宣言』
UTAUカバー1作目となる楽曲はグッバイ宣言。キャッチーなメロディに明るくも不穏さを感じさせる歌詞がUTAU音源での魚住さんの歌声の魅力を引き立たせています。更に述べると、本来の歌声ならば高めの歌声で歌われているであろう楽曲を低いボイスで歌い上げているという肉声と類似しているようで乖離した歌い方が、機械音声だからこそ得られた面白さに繋がっていると感じられます。
『桃源郷へ行こう』
UTAUカバー3作目の楽曲は桃源郷へ行こう。グッバイ宣言では肉声との対比でしたが、こちらではUTAU音声で歌うことが最適解ではないかと思わせる程に曲との噛み合い具合が凄まじく、退廃的な空間に朧げな願望が漂っている曲の雰囲気をより高めています。
『幽霊東京』
4作目となった幽霊東京では、UTAU音声の調整や映像・イラストのクオリティが更に上質なものとなっています。諦念から期待へと移り変わっていく歌詞からか、UTAUカバーだけでなく普通の歌ってみたとしても聴きたくなる気分にさせられます。
3.DTM
続いて紹介するのは、DTMを用いて魚住さん自身が作詞作曲を務めた曲になります。最初の投稿が1年前と制作歴が長い訳ではありませんが、歌声の紹介で語った「切なさ」が曲作りにも色濃く現れており、魚住さんが持つ価値観や思考が曲を通して垣間見えてきます。
再生リストは「初心者DTM/自分の声で歌ったやつ」と「自作曲/自作UTAU or 初音ミク」の2種類あります。
『試作品』
1作目のDTM曲は、ポエトリーリーディングという試作品であり実験作とも呼べるものとなっています。シンプルなサウンドにメロディ、言葉遊びに隠された感情の吐露と荒削りながらも魚住さんの特色が十分に醸し出されています。
『Vtuberの引退を止めたい自意識過剰なだけの歌』
タイトルだけ見るとネタ曲だと思うかもしれませんが、実際に聴いてみると自分の力では変えることのできないどうしようもなさを自嘲気味に歌っている、己を苦しめかねない感情ですらも創作へと昇華させた意欲作であることがひしひしと伝わってきます。
『夜明けに酸素』
先程の曲では自分自身に感情の刃を向けていましたが、この曲では聴く者たち、特に魚住さんへ親しみを持っている人に対してその先端を突き付けてきます。容易に投げかけられれ励ましや慰めに対する嫌悪感、理解されることへの否定、他者の拒絶、この曲を作るためだけに綴られた歌詞とは思えない生々しさで誰であろうと容赦なく刺してきます。聴く際には相応の覚悟で。
『夏霧』
人との別れを憂う内容ということで『Vtuberの引退を引き止めたい自意識過剰な曲』と似ていると思われるかもしれませんが、こちらはいなくなった誰かというものが漠然としており、記憶の中の姿さえも曖昧になってその喪失と忘却の後悔を夏の霧に例えて歌った、文学的な趣きを感じさせる一曲となっています。
『ドローニングドローニング』
こちらはニコニコ動画のボカロ曲の企画「IPPUN GRAND PRIX」の参加作品となっています。ボカロ曲ということで初音ミクとUTAU音声のデュエット形式で歌われた本作は、水の中と称される現実から離れた世界へと沈んでいく不安と渇望を描いています。
この「水」や「沈む」という要素は、次に紹介いする曲にも深く関わってきます。
4.オリジナルソング
前回のレポートも含め、これまでの紹介では全く取り上げずにいた魚住さんのもう一つの姿について軽く踏み込みます。それは魚住春太という一人の人間の物語についてです。動画やfanboxの記事で投稿されているこの物語は全くのフィクションではなく、魚住さんがVtuberとして活動を始めたきっかけやそれ以前のこと、そして今現在の状況についてをバックストーリー的に描いています。
これから紹介する2曲はその物語と地続きで繋がっています。曲の歌詞や動画内に仕組まれた映像には物語を紐解く鍵が散りばめられていて、その一つ一つを拾って考察を深めていくことが可能です。魚住さんがこれまで見てきた世界、感じてきたこと、その一端に触れられるかもしれません。
再生リスト名は「Original song」です。
『Clownfish』
活動2周年記念配信にて先行公開がされました。自身が住む世界を水槽と例え、誰かから好かれる為に生まれたものや心の底に沈んだ本音が見え隠れする様を道化師(Clown)に見立てた歌詞を、水のような残酷な冷たさを感じさせるメロディに乗せて歌っています。曲名のClownfishには道化師の自分ということだけではないもう一つの意味が込められているので、深く知りたい方は裏側を。
『Lungfish』
活動3周年記念配信にて先行公開がされました。この配信では冒頭で魚住さんのある秘密が公開され、締め括る形でこの曲が流されました。『Clownfish』で感じられた冷たさではなく、心地よさやほのかな温もりさても感じてしまう冷たさのメロディに、迷いながらも進もうと藻搔いているただ沈んでいくだけではない前を向いた歌詞が、魚住春太の新たな物語の始まりを感じさせられます。4年目を控えている魚住さんが今後どのような道を辿っていくのか、その末にあるものは何か、見届けたくなる気持ちが押し寄せてくる一曲です。
〈終わりに〉
このレポートをまとめる為に度々動画を見返していたのですが、改めて聴くことで新たに気付けた良さや考えが深まったものがあり、溢れかえる程に伝えたいことが増えていきました。今回紹介し切れなかった歌動画の数々も素晴らしいものばかりであるため、興味をお持ちいただけましたら是非とも聴いてみてください。
最後に、海のような底無しの魅力を持っている魚住春太さんを応援してくださる人が一人でも増えてくれれば幸いです。何卒よろしくお願いします。
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