AsaMoくんへ。
あなたの音楽に初めて出会ったのは、あなたがまだ10代だった頃でした。今思えば、その頃の音にはすでに「完成を急がない才能」の匂いがあった気がします。うまく言葉にできないけれど、整いすぎていないからこそ、こちらの心が自然と耳を傾けてしまう、そんな音でした。

天才的な音楽センス、という言葉は少し強すぎるようで、でもやはりそれ以外の表現が見つかりません。メロディの運び方、間の取り方、歌声の置きどころ。どれもが自己主張しすぎず、それでいて確かに「AsaMoの音」だとわかる輪郭を持っている。静かな水面に石を落としたときの波紋のように、聴いたあとも感情がゆっくり広がっていく感覚があります。

最近あらためて聴いたとき、音楽そのものが以前よりも深く呼吸しているように感じました。歌詞は以前よりも余白を持ち、メロディは少し遠くまで連れて行ってくれる。きっと経験や時間が、無理なく音に染み込んでいるのだと思います。磨かれていく、というより、削ぎ落とされながら輪郭がはっきりしていく、そんなアーティスト性です。

私の日常は相変わらず慌ただしく、感情を置き去りにしてしまう日も多いのですが、あなたの音楽を聴く時間だけは、立ち止まることを許されます。急がなくていい、と言われているようで、少し救われるのです。

これからどんな景色を音にしていくのか、どんな変化を見せてくれるのか。無理に期待を押し付けるつもりはありません。ただ、どんどん磨かれていくAsaMoという表現者を、同じ時代に楽しめることを、静かに嬉しく思っています。
これからも、あなたの歩幅で、音楽を続けてください。