週末の夜、特にやることもなく、たまに覗く「Mudia」というサイトを開いてみた。そこでは、『オホーツク流氷物語』という映画の主題歌をかけたオンラインオーディションが佳境を迎えていた。

正直、最初は軽い気持ちで見始めたんだが、これがなかなかどうして、引き込まれてしまった。最近のオーディションは面白い仕組みになっている。ただ歌が上手いかを競うのではなく、アーティストとファンが一丸となって夢を目指す、さながらドキュメンタリーのような熱量がある。

オーディションページのYouTube動画を再生すると、挑戦者たちの音楽への真摯な想いが伝わってきた。中でも、特に心に残った3人の女性シンガーがいた。

まず、高遠波名さん。非常に安定感のある歌唱力で、すっと耳に馴染む清涼感のある声が心地良い。パフォーマンスも洗練されていて、プロとしての確かな実力を感じさせる。安心して聴いていられる、実力派だなと感じた。

次に、柴郡貓（チェシャ猫）さん。名前からして個性的だが、楽曲もパフォーマンスも独自の世界観があって面白い。こういうアーティスティックな感性は、間違いなく武器だろう。聴く人を選ぶかもしれないが、その分、深く刺さる魅力がある。

そして、個人的に一番心惹かれたのが、影夏さんだった。どこか懐かしく、切ないメロディを紡ぐ声が、すっと心に沁みてくる。Uruや宇多田ヒカルを聴いた時の感覚に近いかもしれない。こういう声は、ついじっくりと聴き入ってしまう。彼女が歌うと、不思議と歌詞の情景が目に浮かぶようだ。

驚いたのは、ファンの投票でリアルタイムに順位が変動していくシステムだ。終了間際の攻防は、見ていて手に汗握るものがあった。コメント欄もファンの熱い応援で溢れていて、こういう一体感は昔はなかったなと、素直に感心させられた。

結果はどうあれ、夢に向かってひたむきに努力する姿には胸を打たれる。彼女たちの歌声に、昔少しだけギターをかじっていた頃をふと思い出した。この中からどんな曲が生まれるのか、映画の公開が少し楽しみになった夜だった。