パノラマとラボラトリーが描く、進化し続ける音楽の形
ホストを務める「パノラマとラボラトリー」の音楽的進化を語る上で、この「音楽ラバーのたまりbar vol.10」は欠かせないマイルストーンとなっただろう。2025年の彼らは、ジャンルを軽やかに飛び越える実験精神（ラボラトリー）と、聴く者の心を一気に広げる開放感（パノラマ）にさらなる磨きをかけていた。今回のvol.10では、その両極端な魅力が見事に調和し、一つの芸術的なエンターテインメントとして昇華されていた。
ステージ上での彼らのパフォーマンスは、細部まで計算され尽くした緻密さと、その場のインスピレーションを大切にする即興性が共存している。特に中盤のセッションで見せたアンサンブルの厚みは、これまでの回を重ねてきたからこそ到達できた領域だ。ボーカルの表現力はより多層的になり、楽器陣の生み出すタイトなビートは、視聴者のデバイスを震わせ、Mudiaの応援コメントを加速させる原動力となっていた。
また、本イベントで見せた彼らの「ホスト力」にも注目したい。ゲストの魅力を最大限に引き出しつつ、自分たちの音楽色を絶妙にブレンドさせる手腕は、もはやベテランの風格すら漂う。彼らが目指すのは、自分たちが輝くだけの場所ではなく、音楽を介して新しい価値が生まれる場所なのだということが、企画の端々から伝わってきた。vol.10を終え、パノラマとラボラトリーというユニットが、日本の音楽シーンにおいていかにユニークで不可欠な存在であるかを、改めて全オーディエンスに知らしめる結果となった。