坂本さんは器用で多才なSSWだと思う。SSWというよりクリエイターというほうがあってるかもしれない。演奏や歌はもちろんのこと、作り出す音楽は幅広いし、MVの編集も自分でこなしてしまう。写真も撮るし、衣装も自作することも…。空に浮かぶ雲から道端のちょっとした草花にも目を向ける感性ももってて、その感性から創り出す作品にはいつも驚かされてきた。その器用さ(少し頑固なところ)が、回り道になってしまうことがあったかもしれないが、ファーストミニアルバムを出したあたりから、自分の音楽の方向性が定まって真っ直ぐ進んでいるような気がする。

今回の新曲『翠雨』は、自分の目指す方向性を明確にし、たくさんの音を重ねることによって曲の世界観を表している。しばらくこの方向で制作をしていくのかなと思われるが、この先、足し算の制作から引き算の制作になり、シンプルなピアノと歌声で演奏した時に、音を重ねて表現したのと同じ、いやそれ以上の表現力で伝わる演奏になることを期待している。

４年前、TikTokで真正面を向いて無邪気な笑顔で歌ってた坂本さん、歌は決して上手くなかったけど幸せな気持ちにさせてくれた。こんなに楽しそうに歌う人がいるのかってくらい。画面から溢れて伝わってくる幸せそうな笑顔は、歌唱力があるとか、音域が広いとか、技術があるとか、そんなことを超えた魅力があった。

今回のオーディションは、坂本さんが活動の中で築いてきた繋がりが強い味方になっている。この繋がりを大事にして、もちろんオーディションだから目標は優勝だけど、オーディションを通して、さらに多くの人と繋がり、これから活動していく上での大きな財産を得られるといいと思う。今回の｢最後のオーディション参加｣を全力で応援したい。