今回のOTONOVAの参加者のなかで、駅馬車七面鳥さんの見た目のインパクトに惹かれ、紹介楽曲「GRIM REAPER」を聴いてみました。タイトルから受ける印象は重く、少し構えて再生したのですが、実際には想像以上に感情の深い部分へ踏み込んでくる楽曲だと感じました。死神というモチーフが使われていますが、ただ暗い世界を描いているのではなく、「生きること」と向き合う強さが伝わってくる一曲でした。

演奏は歪んだギターと力強いリズムが印象的で、冒頭から緊張感のある空気に引き込まれます。その中で響く駅馬車七面鳥さんの歌声は、決して整いすぎておらず、感情をそのままぶつけてくるように感じられました。女性として聴いていても、その不器用さや必死さが逆に心に残り、言葉一つひとつが胸に刺さります。

歌詞からは、恐れや葛藤、どうしようもない感情が滲み出ている一方で、それでも立ち止まらずに進もうとする意志が感じられました。死を象徴する存在を描きながらも、最終的には生きている側の視点に立ち戻ってくる構成がとても印象的です。重たいテーマなのに、聴き終えたあとに不思議と前向きな余韻が残りました。

駅馬車七面鳥さんの音楽は、誰にでも寄り添う優しさとは少し違い、自分自身と向き合う覚悟を求めてくるように感じます。「GRIM REAPER」は、それが強く表れている楽曲で、彼の音楽世界を知るきっかけとして、ぜひ多くの方に聴いてほしいと思いました。