日本全国から選び抜かれた精鋭が集う「Acappella Grand Slam コロシアムリーグ」。4年生部門の決勝ともなれば、そのレベルはもはや学生の域を完全に凌駕していました。各バンドが持ち寄ったアレンジの妙、マイク一本で作り出す音響空間の広がり、そしてプロ顔負けのステージング。どれをとっても超一級品です。
今回のコロシアムリーグで特に際立っていたのは、各バンドの「選曲の意図」と「物語性」です。4年間の集大成として、あえて難解なジャズアレンジに挑むバンドもあれば、圧倒的な歌唱力でストレートに感情をぶつけるバンドもあり、その対比がコンテストとしての深みを生んでいました。ボイパのキレ、ベースの安定感、リードボーカルの表現力――どれか一つが欠けても成立しない、ギリギリのバランスで成り立つ芸術を目の当たりにしました。
また、Mudiaでの応援合戦も非常に熱く、現地に行けなかった全国のファンや後輩たちの想いが画面越しに伝わってきました。リアルタイムで順位が変動する緊張感の中で、プレッシャーを跳ね除けてベストパフォーマンスを披露したアーティストたちの精神力には脱帽です。
特筆すべきはコーラスの厚みです。4年間、幾度となく音を重ねてきたからこそ成せる「声の混ざり方」は、一朝一夕でできるものではありません。この最高峰の戦いをリアルタイムで体感できたことは、アカペラファンとして最高の贅沢でした。素晴らしい技術と情熱を見せてくれた全出場グループに、最大のリスペクトを。