AATAさんの音楽に触れると、ジャンルという言葉があまり意味を持たなくなるように感じます。

シティーポップやR&B、Lo-fi Hip Hop、ソウル、ボサノヴァなど、さまざまな音楽の要素が自然に溶け合い、どれか一つに分類することができません。

それでも不思議と違和感がなく、耳にすっと入ってくるのは、AATAさん自身の感覚が音楽の中心にしっかりと存在しているからだと思います。

特に印象に残るのは、その歌声です。

甘さがありながらも軽やかで、聴いている側に余計な力を求めません。元気づけるために無理に背中を押すのではなく、隣に座って同じ景色を眺めてくれるような距離感があります。　その声がメロディに乗ることで、楽曲全体が一つの空気をまとい、聴く人の時間の流れまで変えてしまうように感じます。

これまでに音楽業界のさまざまな場所で評価されてきた実績も、AATAさんの表現の幅広さを物語っていますが、それ以上に大切なのは、その経験が音楽に自然に反映されている点だと思います。賞歴やメディアでの活躍を強く主張することなく、楽曲そのものが静かに説得力を持っている。

その姿勢が、長く聴き続けたくなる理由の一つです。

また、楽曲制作だけでなく、CMソングやラジオ、朗読など、多方面で活動されている点も印象的です。

音楽という枠を越えて「声」や「言葉」を使った表現に向き合ってきた経験が、歌の表情やニュアンスの細やかさにつながっているのだと感じます。だからこそ、AATAさんの楽曲は日常のささやかな瞬間にも自然と寄り添ってくれます。

「BEAT CONNECTION vol.1」というイベントは、音楽のつながりや広がりを感じられる場になると思います。

その中でAATAさんの音楽は、場の空気をやわらかく整え、聴く人それぞれの感情に静かに寄り添う存在になるはずです。

多くの音が交差する場所だからこそ、その個性がより際立つ。そんなステージを心から楽しみにしています。