「Acappella Grand Slam」という、学生さんたちのアカペラの大会を拝見しました。アカペラというと、我々の時代は「コーラスグループ」と呼んだもので、デューク・エイセスさんなどが活躍しておられましたな。

しかし、今の学生さんたちのアカペラというものは、我々の想像を遥かに超えておりました。e.s.t.さん、紅涙さん、ムゲン逃行さん…と、30組以上ものグループが参加されていて、まずその熱気に驚かされます。

何より驚いたのは、声だけで全ての音楽を奏でておられること。 リードボーカルの方の歌の上手さはもちろん、その後ろで重なるハーモニーの美しさ。これはもう芸術でありますな。「咲き麗」さんや「金木犀」さんなど、日本語の美しい響きを大切にされているグループには、特に心が惹かれました。

そして、我々には理解が追いつかなかったのが、「ボイスパーカッション」や「ベース」と呼ばれる役割の方々。まるで太鼓や、あの低い弦楽器（コントラバス）の音が、人間の口から出ている。これは一体どういう仕組みなのでしょうか。ただただ、その器用さと鍛錬に感服するばかりであります。

これが「4年生部門」ということで、つまりは学生生活の集大成なのでありましょう。 就職など、将来のことを考えねばならぬ時期に、これだけ一つのことに打ち込めるというのは、本当に素晴らしい。 声という、自分自身の身体一つで、仲間たちと「和」をなし、一つの音楽を作り上げる。そのひたむきな姿は、我々年長者にとっても、非常に胸を打つものでありました。

技術の進歩にも驚かされますが、いつの時代も、若者が何かに情熱を注ぐ姿は美しいものでありますな。大変、感心いたしました。