この数日、すっかり「Mudia」のオーディション観戦が日課になってしまった。我ながら、ひとつのことにこれほど夢中になるのは久しぶりだ。技術の高さ、アレンジの妙、グループの色。毎回のように新しい発見があるが、今回のブロックで感じたのは、理屈抜きの「楽しむ力」と、その「表現の幅広さ」だった。

今回も、まずグループ名からして個性のオンパレードだ。「GRRREATマックスなオレたち」「パスタもちもち」「街角ブロードウェイ」。正直、若い頃にギターをかじった身からすると、こういう名前は少し面食らってしまう。どんなパフォーマンスが飛び出すのかと身構えていると、これがまた、とんでもなく本格的だったりするから面白い。

特に「街角ブロードウェイ」さんは、その名の通り、一瞬でステージをミュージカルのワンシーンに変えてしまうような華やかさと物語性があった。かと思えば、「パスタもちもち」さんのように、可愛らしい名前とは裏腹に、非常に高度なハーモニーとグルーヴを聴かせてくれる。このギャップがたまらない。

そして、「Alt Vibes」さん、「Groovy Sonic」さん、「Youtopia」さんといった、現代的な響きを持つグループ。彼らが奏でる音楽は、R&Bやジャズの要素を巧みに取り入れた、まさに「今」のサウンドだ。声だけでこれほど洗練されたリズムと浮遊感を生み出せるものかと、ただただ感心するばかりだった。

一方で、「ここあい」さん、「日晴（ひばれ）」さん、「Honeytrot」さんのような、温かみや優しさを感じさせるグループもいる。こういうグループが歌うバラードは、やはり心に沁みる。Uruや宇多田ヒカルの曲が持つような、メロディの美しさをストレートに伝えてくれる歌声は、私のような世代には格別の安心感がある。

そして、前回も見かけた「DOPE」さん。彼らのような実力派が再び登場すると、イベント全体がグッと引き締まる。高いレベルでの競争が、この熱狂を生んでいるのだと再認識させられた。

今回のブロックを見て強く感じたのは、アカペラという表現が、いかに「楽しむ」ことに正直であるか、ということだ。どんなにユニークな名前でも、どんなにトリッキーなアレンジでも、根底にあるのは「みんなで声を合わせるのが楽しい」という、とてもシンプルで純粋な情熱だ。その熱が、画面越しにも伝わってくるから、見ているこちらも自然と笑顔になってしまう。

技術や理論だけではない、音楽が本来持っている「人を楽しくさせる力」。それを改めて思い出させてくれる、素晴らしい時間だった。