映画主題歌オーディションの予選Aブロック、拝見しました。今回は特に、楽器の響きや楽曲のアレンジが素晴らしいアーティストが多く、聴き応えのあるブロックでした。

まず、私の耳を捉えたのは「FiveLan」さんです。 ロックバンドとしての骨太さもありながら、非常に「メロウでおしゃれなコード感」を持った楽曲でした。単純なスリーコードではなく、テンションコードなどを効果的に使っているのでしょうか、響きに深みがあります。 その洗練された演奏の上で、ボーカルの方の「等身大でしぼりだすようなハスキーボイス」が響く。この対比が素晴らしい。 歌詞もまっすぐで、技術に溺れず、しっかりと「歌」を届けようとする姿勢に好感を持ちました。

そして、「ザ6億光年ズ」さん。 アーティスト写真を拝見した時、思わず「おっ、ビートルズか？」とニヤリとしてしまいましたが、楽曲もその期待を裏切らない素晴らしいものでした。 リバプールサウンドを彷彿とさせつつ、うまく「日本風」にアレンジして消化している。 シンセサイザーなどで音を埋めるのではなく、「バンドサウンド一本」で素直に勝負している潔さがいいですね。 特にコーラスワーク。完璧に整えられたハーモニーも良いですが、彼らのコーラスには、どこか「少年のような青さや未熟さ」が残っていて、それが楽曲の優しくて暖かい歌詞と相まって、青春時代の郷愁を誘います。

最後に、「MIOSIC」さん。 こちらは男女デュオでしょうか。「ゆったりとアンニュイ」な雰囲気が、夜の静けさにぴったり合いそうです。 お二人の声が重なるハーモニーが非常に美しく、特に透き通るような声質が印象的でした。 歌詞の中に「君が好きだったギターを弾いてるよ」というフレーズがあったのですが、楽器をやっていた身としては、この一節にグッときてしまいました。音楽を通じて誰かを想う、その情景が目に浮かぶようです。

それぞれの編成（アンサンブル）の良さが際立つ、素晴らしい予選でした。