恋燃ゆ 最高!
『音楽ラバーのたまりbar vol.10』 presented by パノラマとラボラトリー
開催日: 2025/12/12
『音楽ラバーのたまりbar vol.10』に参加して、乃綾さんのステージは間違いなく強く心に残る時間となりました。山口百恵さんや昭和歌謡を愛してきたという背景は事前に知っていましたが、実際に生で歌を聴くと、その影響が単なる「好き」という言葉では表せないほど、表現の隅々まで染み込んでいることを実感しました。ステージに立った瞬間から、今の時代のライブハウスにいながら、どこか懐かしく、それでいて新鮮な空気が流れ始めたのが印象的でした。乃綾さんの独特な唄い回しは、一音一音を大切に紡いでいるようで、歌詞の意味や感情が自然と耳に、そして心に入ってきます。感情を過剰に押し出すのではなく、抑制の効いた中に確かな情念があり、そのバランスがとても美しく感じられました。昭和歌謡特有の湿度や切なさをしっかりと受け継ぎながらも、現代の感覚で再構築されているからこそ、「懐かしいのに新しい」という不思議な感覚を味わえたのだと思います。都内近郊のライブハウスや野外フェスなど、さまざまな場所で活動している理由も、この表現力を目の当たりにすると納得できます。特に今回のような、音楽を愛する人たちが集まる空間では、乃綾さんの世界観がより濃密に伝わり、観客一人ひとりが歌と向き合える時間になっていました。プロレスラー虎龍清花さんの入場曲「ヒノトリ」を提供しているというエピソードを思い浮かべると、誰かの覚悟や物語に寄り添う音楽を生み出している点も、非常に魅力的だと感じます。昭和100年、昭和の日にリリースされた『恋燃ゆ』という作品名からも、昭和歌謡への深い愛情と、自身の表現を貫く強い意志が伝わってきます。今回のステージは、その歩みの途中を垣間見るような時間であり、これから先、どんな歌で、どんな景色を見せてくれるのかを楽しみにさせてくれる参加レポートになりました。
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