ほんの気まぐれで覗いたつもりが、昨日、今日とすっかりのめり込んでしまった「Mudia」でのオーディション観戦。それも、ついに最後の予選ブロックだ。決勝進出をかけた最後の椅子を巡る戦いということもあってか、画面の向こうから伝わる空気は、昨日よりもさらに張り詰めているように感じる。コメント欄を流れるファンの言葉も、心なしか熱量が高い。『オホーツク流氷物語』の主題歌を歌うのは誰になるのか、もうすっかり他人事ではなくなってきた。

今回、特に度肝を抜かれたのが、一位を飾ったLUNAさんだった。投票が締め切られるその瞬間まで、彼女へのポイントは滝のように流れ続け、最終的な得票数はまさに桁違い。他の挑戦者を大きく引き離す、圧倒的な支持を見せつけた。そのパフォーマンスは、華やかなルックスから想像するイメージを心地よく裏切るものだった。歌い出したのは、胸の奥深くに染み入るような哀愁のバラード。どこか懐かしい昭和歌謡の匂いをさせながらも、古臭さを感じさせない絶妙なアレンジ。一つ一つの言葉を大切に紡ぐように、情感豊かに歌い上げるその確かな技術には、思わず息をのんだ。これだけの支持を集めるのも納得の実力。そのギャップがまた、多くの人を惹きつけるのだろう。

そのLUNAさんとは対照的に、強烈なインパクトを残したのが、ソノアタシさんという女性シンガーだ。こちらはイントロからして、聴いているだけで元気が湧いてくるような、テンションの高いロックチューン。アニメの主題歌にでもなりそうなキャッチーなメロディと疾走感のあるビートで、一気にステージを自分の色に染め上げていた。若い頃に少しだけギターをかじった身としては、こういうストレートなロックの衝動には、なんだか胸が熱くなるものがある。技術だけではない、真っ直ぐなパワーもまた、オーディションの醍醐味だと改めて感じさせられた。

いよいよ、これで決勝に進む役者は全て揃った。昨日勝ち上がったアーティストたちも含め、本当に個性豊かな顔ぶれだ。彼らが一体どんな決勝のステージを見せてくれるのか。それぞれのファンの方々の応援合戦も、きっと最後の最後まで熾烈を極めるに違いない。たった一曲が、誰かの人生を大きく変えるかもしれない。映画のエンディングを飾るその歌声が決まる瞬間を、固唾を飲んで見守りたいと思う。