「音楽ラバーのたまりbar vol.10」は、派手な演出や大きな音で圧倒するイベントというより、それぞれの音楽とちゃんと向き合える、静かな熱を持った時間だったなぁと感じました。

その中で、乃綾さんのステージは、言葉と音がまっすぐ心に届く、印象的な存在でした。

乃綾さんの歌は、無理に感情を盛り上げるんじゃなく、聴く側の気持ちにそっと寄り添ってくる感じがあって、「わかってもらえた気がする」と思わせてくれる力があります。

強さよりも誠実さが前に出とって、歌詞の一言一言が丁寧に置かれとるのが伝わってきました。気づいたら、自然と耳を傾けてしまう、そんな引力を持ったステージだったと思います。

共演のパノラマとラボラトリーさんは、空間全体を包み込むような音楽で、イベントの土台をしっかり支えとりましたし、Uitoさんは音のセンスと軽やかさで場の空気をふっと変えてくれました。

SHURI.さんの表現には芯の強さがあって、オダギリミオリさんは言葉選びや声色に独特の世界観を感じさせてくれました。それぞれが違う方向を向いとるのに、不思議と一体感があったのが、このイベントのすごいところだ思います。

その中で乃綾さんは、イベントの流れを静かに受け止めながら、自分の音楽をきちんと提示しとった印象です。前に出過ぎず、でも埋もれない。そんな絶妙な立ち位置で、しっかり記憶に残るステージを見せてくれました。

いろんな音楽が集まる場所やけど、「また聴きたい」と思わせてくれるかどうかは別。乃綾さんの歌には、ライブが終わったあとも心の中に残って、ふとした時に思い出したくなる余韻がありました。

音楽ラバーが集まる“たまりbar”という場に、ほんまによく似合うアーティストじゃったと思います。これからの活動も、あったかく応援していきたいです。