予選Bブロックは、夜に一人で聴きたくなるような、切なくて雰囲気のある曲が多くて、どっぷりとその世界に浸ってしまいました。

一番印象的だったのは、「さおり凛ね」さんです。 聴いた瞬間、タイムスリップしたような感覚になりました。昭和から平成初期にかけての、あの頃の歌謡曲が持っていた独特の空気感。 歌詞の言葉選びもどこか懐かしくて、胸がキュッとなります。 音程やコード感が少しふわふわと浮遊している感じなのですが、それが彼女のミステリアスで甘い声と絶妙にマッチしていて。一度聴いたら耳から離れない、不思議なクセになる魅力がありました。 悲しい恋の歌なのかな、それとも…といろいろ想像を掻き立てられる歌声でした。

そして、「響」さん。 見た目も歌声も、EXILEさんとかのグループにいそうな、すごく華のある方だなと思いました。 楽曲はしっとりとしたバラードで、これがまた素敵なんです。 夏の終わりの海辺で聴くのも良さそうだし、今の季節なら、イルミネーションが輝く冬の寂しい街角にもぴったりハマりそう。 「会いたい」とか「寂しい」といったストレートな感情が、洗練されたメロディに乗って届いてきて、ラブストーリーの主人公になったような気分にさせてくれました。

以前聴いて涙してしまった「Ruvi」さんの気だるげな歌声も、やはり心に残りました。解散されてしまったバンドの「最後の言葉」だと思うと、歌詞の一つひとつがより一層重みを持って響いてきます。 「SEASIDE SHEEP」さんの夜の海を漂うようなサウンドや、「影夏」さんの透明感のある歌声も、それぞれが違う「夜の物語」を紡いでいて、とても素敵でした。

懐かしさや切なさが入り混じる、大人のための絵本のようなブロックでした。 眠れない夜に、そっと寄り添ってくれる曲たちに出会えて幸せです。