『ファイティングポーズ』は、聴いた瞬間に背中を押されるような、不思議な力を持った応援歌です。今回、鈴木なな子さんの取材記事や試合動画を見て、ボクシングのことは詳しくなかった私でも、リングで戦う彼女の姿に努力と挑戦の強さを感じました。だからこそ、この曲が彼女への応援歌であることがよくわかります。そして面白いのは、鈴木さん個人への歌でありながら、聴く私たちにも力が届くところです。

歌詞の「何度でも立ち上がれ君よ　超えてゆけ一歩ずつ壁を」というフレーズを耳にすると、本当に自分のことを励ましてくれているような気持ちになります。倒れてもまた立ち上がって、少しずつ前に進む。挑戦は決して派手な成功ばかりではなく、小さな積み重ねこそが未来を切り拓くのだと教えてくれます。応援歌としての優しさと現実感がそこには宿っているようです。

「前人未到目指して強くあれ」という歌詞には、鈴木なな子さんが女子ボクシングをもっと広めたいと願う気持ちと重なります。

サビの「今夜俺たちは一握りの　いのち空に高く翳して　まっすぐな想いぶつけ合って」これはボクサーと観客が一体となって燃える試合の光景を想起させます。

特に印象的なのは「君の魂」という呼びかけと、LIVEではがなりを効かせた熱い歌声です。感情がむき出しになった声だからこそ、歌詞のメッセージが心に刺さります。歌詞の「魂」と歌声の「魂」が重なり、言葉だけでは届かない熱量を伝えてくれるのです。

 ファイティングポーズは鈴木なな子さんへの応援歌でありながら、聴くすべての人への応援歌でもあります。鈴木なな子さん自身が体現している「挑戦する姿勢」「諦めずに立ち上がる強さ」が普遍的な価値だからです。彼女のために歌われた言葉が、結果として誰もが自分に向けられているように感じられます。その二重性こそが、この曲の最大の魅力だと思います。