月がモチーフの曲や月が曲名に入っている曲はたくさん存在するが曲名がシンプルに「月」だけという楽曲は驚くほど少ない。

「月」は彼女の１ｓｔフルアルバム「星の見えない夜に」の最後に収録されている曲でアルバムタイトルは「月」の冒頭のフレーズそのものなのでこの曲に込められたアルバムでの大事さが想像できる。このアルバムのラストの方では「ハナビノヒバナ」「クラッシュ」でおおいに暴れた後、「玉響（たまゆら）」そして「月」という２曲のバラードという構成で「玉響」が伝説にもとづいた非日常的な曲なのに対して「月」は日常的な題材の曲でクールダウンしてしめくくっているところもこの曲に託された想いを感じる。

本人が「タイトルは『月』だけど月は一度も歌詞に出てこない」とか「星が見えない夜だと月も見えないよねー」とかいたずらっぽく言っていたりしていて、これに対してはいや、月が明るすぎると星が見えなくなるだろうと突っ込みどころがあったりもするが、それこそ解釈は人それぞれをまさに地で行くようなエピソードといえばそうであるし、歌詞には直接出てこなくても、「照らせ」と叫ばれるのはやっぱり「月」なんだろうなと思わせてくれるので、本人なりに満を持してのシンプルな曲名なのだろう。

暗闇に一筋の光明を与えてくれる程度に照らしてくれるのでありがたみがある月に比べると暗闇を消してしまうほど照らしてしまう太陽が不憫に思えてくるが、YURIには「SUN」という曲もあるのでこれも「月」への伏線なのかもしれない。

YURI推し歴３年弱だが、古参のファンによると「月」は前からあった曲らしくライブでもなかなか聞く機会がなくて、フルアルバムのリリースでようやく普段から聞けるようになってきた曲というイメージが強い。それだけ大事に温められて世に出された曲のようなので、これからはもっと多く聞かれるようになっていって欲しい