パノラマとラボラトリー（パノラバ）は、ヨーロッパでの活動を経て帰国した気鋭のドラマー・坪井洋さんと、ジャズからエレクトロニカまでを自在に横断するキーボーディスト・森田珠美さんによる音楽集団です。今回のイベントで改めて突きつけられたのは、彼らの圧倒的な「音の対話力」でした。

坪井さんの叩き出すリズムは、単なるビートの枠を越え、空間の温度を変えるような躍動感があります。そこに森田さんの繊細かつ大胆な旋律が重なり合うことで、ジャズの洗練、ポップスの高揚、エレクトロニカの浮遊感が一つの物語として編み上げられていきます。この日、多種多様なアーティストとのコラボレーションで見せた柔軟な音の広がりは、まさに新たなオルタナティブ・ポップの世界が創造される瞬間を目の当たりにする体験でした。

彼らの音楽性が世界基準であることは、すでに歴史が証明しています。世界最大規模のインディーズバンド大会「エマージェンザ 2022」において、日本優勝のみならず、ドイツでの世界決勝で2位タイという快挙を成し遂げたことは記憶に新しいでしょう。しかし、そんな「世界のパノラバ」が、こうした「たまりbar」という親密な空間で、音楽への純粋な好奇心を爆発させている姿にこそ、彼らの真の魅力が宿っていると感じました。

テクニカルでありながら、決して聴き手を置き去りにしない。むしろ、その緻密な音のパズルにいつの間にか引き込まれ、心が解放されていく——。世界に通用するその実力を携えながら、常に「新しい音」を求めて実験を続けるパノラマとラボラトリー。

今回の「たまりbar vol.10」は、彼らが広げる無限の可能性と、音楽に対する飽くなき探求心を改めて再確認させてくれる、極上の時間となりました。次に彼らがどんな景色（パノラマ）を見せてくれるのか、期待しています！