Schema の「Walking in the rain」は、失恋という誰もが一度は通る痛みを、真正面から描いた一曲です。感情を叫ぶのではなく、雨に紛れるように静かにこぼれていく心の声。その静けさこそが胸に刺さります。ギターが雨粒のようにぽつりぽつりと響き、気づけば景色がにじんでいく。派手な展開はないのに、聴いていると深いところに沈んでいくような余韻があります。

サビに向かう少し前のフレーズは特に印象的です。まだ濡れたままの心を抱えた主人公が、「忘れたいのに忘れられない」という出口のない苦しさを淡く、しかしはっきりと描いていく。言葉は控えめなのに、その余白にどれほどの感情が詰まっているかが伝わり、気づけば自分の過去の傷と重ねてしまうような深さを持っています。サビでは一瞬だけ視界がひらけるような明るさが差し込みますが、それすらも未練の光のように見えてしまうのが、この曲らしいところです。

ライブで「Walking in the rain」を聴くと、音の隙間がより生々しく感じられます。ステージの照明が少し落とされ、薄青い光の中で曲が始まる瞬間、客席全体の呼吸が自然と整うのがわかります。ギターはCD以上に線が細く、刺すような鋭さを持ち、その生々しさが失恋の生傷のように痛い。歌が乗った瞬間、雨の粒がスローモーションで落ちてくるような静かな世界へ一気に引き込まれます。Schemaのライブは派手な演出がなくても、楽曲の情景をそのまま眼前に立ち上げてくる力があり、その“静かに圧倒してくる感じ”がたまらないのです。

そんなSchemaが挑むOTONOVAセミファイナル。これはただの次のステージではなく、彼らが積み重ねてきた音がどれだけ人の心に届いているかが試される場所です。「Walking in the rain」が描くような痛みも、迷いも、未練も、すべて音に変えてきた彼らだからこそ、この舞台で響かせる意味があります。

雨の街に溶けていくような静かな歌でも、届くべきところには必ず届く。
その証明の夜になるよう、心から応援しています。

頑張れ Schema！2人のの音は、必ず夢に届くはずです！！