警備員小砂のおすすめ
【予選C】『映画主題歌オーディション!! 地方創生ふるさと映画!北海道シリーズ第三弾! 【オホーツク流氷物語 第3章】』
開催日: 2025/10/04
真夜中のオフィスは静かだ。昼間は人で溢れていた会議室も、今は椅子がきちんと揃えられて、書類の山だけが残されている。蛍光灯の白い光が床を照らし、エアコンの低い唸り声が響くだけ。俺は無人の廊下をゆっくり歩く。足音がやけに大きく聞こえるのは、この時間ならではだ。
そんな夜に耳へ落ちてくるのが、尾上明範の歌声だ。「蛍の詩」を聴くと、この無機質な空間にも不思議と温度が戻る。蛍の光は小さくて儚いが、確かにそこに存在する。その歌に触れると、消えそうで消えない光を見守るような気持ちになるんだ。
「換気扇」や「青」は、より現実的だ。ビルの裏口で換気口から漏れる油の匂い、深夜残業を終えて帰った社員の気配がまだ残るフロア。その空気と彼の歌が重なると、この仕事の孤独さすら風景の一部に思えてくる。
尾上の音楽は派手じゃない。だが耳を澄ませば、確かに心の奥まで入り込んでくる。拍手も喝采もないオフィスの警備と同じで、誰に注目されなくても静かに役目を果たしている。俺にとって彼の歌は、夜を越えるために必要な灯りだ。
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