まずはお疲れ様でした。

予選Cブロックは、オーディションイベントにおける「投票心理」と「ファンベースの構造」を分析する上で、非常に示唆に富んだケーススタディとなりました。
特に終了間際、瑞挙氏、HOPE's氏、YouKey氏の三者による激しい順位変動は、各アーティストの支持層の特性を色濃く反映していたと推測されます。

まず、序盤からリードを保っていた「YouKey」氏。 彼のスタイルは、甘い歌声とビジュアルを武器にした、男性アイドルやダンスボーカルグループの文脈にあります。 このタイプは、熱量の高い「固定ファン」を抱えているケースが多く、組織票や継続的な投票行動が期待できます。序盤のリードは、まさにそのファンベースの強さの証明であり、スタートダッシュにおける優位性を示していました。

対する「HOPE's」氏。 彼らの楽曲は、往年のJ-POP、いわゆる90年代〜00年代のヒットチャートの方程式を踏襲した、非常に安心感のあるミドルテンポのナンバーです。 ボーカル女性の声質も、優しさと深みを兼ね備えており、特定の層だけでなく、幅広い年齢層（浮動票）を取り込むポテンシャルを持っています。「映画の主題歌」というコンテクストにおいて、最も収まりが良いと感じさせるのはこのタイプでしょう。

そして「瑞挙」氏。 彼の音楽性は、スピッツなどを彷彿とさせる良質なポップロックです。 儚げで温かい歌声とキャッチーなメロディは、聴取後の「後味」が良く、リピート聴取を誘発します。投票締め切り間際において、「最後にこの曲を推したい」と思わせる情緒的な訴求力が働いた可能性があります。

結果として、終了数分前まで勝敗が読めないデッドヒートとなりました。 これは、YouKey氏の「組織力」、HOPE's氏の「普遍性」、瑞挙氏の「親和性」という、異なるベクトルを持つ力が拮抗した結果です。 誰が勝ってもおかしくない状況でしたが、この激動の展開こそが、参加型オーディションのエンターテインメント性を最大化する要因であることを、改めて確認できたブロックでした。