「歌降る夜 vol.9」は、名前の通り“歌が降ってくる”ような、静かだけれど確かな熱を感じる一夜でした。正直に言うと、私は安納なおさんを応援する気持ちでこのイベントに注目していましたが、終わってみれば、出演された皆さんそれぞれの音楽にしっかり心を動かされていました。

安納なおさんのステージは、やはり特別でした。声が前に出すぎることもなく、でも埋もれることもなく、言葉一つひとつが丁寧に空間に置かれていくような歌い方が印象的でした。派手さで引きつけるのではなく、聴く側が自然と耳を傾けてしまう力があり、気づけば歌詞を追いながら聴いていました。安納さんの歌には、静かな強さと誠実さがあって、その姿勢が音楽そのものに表れているように感じました。

一方で、他の出演者の皆さんもそれぞれに個性が際立っていました。祈世麻里さんの歌からは、感情の振れ幅の大きさと表現力の豊かさを感じましたし、SHURIさんは声の質感やリズム感が印象に残りました。ナガさんのパフォーマンスには、言葉の選び方や間の取り方に独自の世界観があり、じっくり聴きたくなる魅力がありました。

セリサさんは、歌声そのものに芯があり、楽曲の雰囲気をしっかりと支えている印象でしたし、福岡未希さんは、等身大で真っ直ぐな歌が心に残りました。DALさんのステージからは、音楽を楽しんで届けている空気が伝わってきて、自然と気持ちが和らぎました。

推しがいるイベントではありますが、「歌降る夜 vol.9」は、誰か一人だけを見る場ではなく、それぞれの音楽が同じ空間で交差し、響き合う時間だったと思います。安納なおさんを応援する気持ちは変わりませんが、同時に、他の出演者の方々の音楽にもきちんと向き合えたことが、とても嬉しい経験でした。

それぞれ違う色の歌が集まって、一つの夜をつくり上げていた、そんな温度のあるイベントだったと思います。またこの“歌が降る”時間に立ち会える日を楽しみにしています。