最初は通り過ぎるつもりだった
アサガヤガールズコレクションVol.235
開催日: 2026/01/18
正直に言うと、これまで名前を目にする機会はあっても、腰を据えて向き合ったことはなかった。今回のテーマをきっかけに聴き始めた鈴木千絵さんの音楽は、最初の数音から、こちらの呼吸をそっと整えてくるような感触があった。声の強さで押してくるのではなく、音と言葉の間に残された静けさが、いつのまにか心に入り込んでくる。そういう聴き方を自然に促してくれる歌だと感じた。
メロディは過度に飾られていないのに、どこか輪郭がはっきりしていて、聴いているうちに情景が立ち上がってくる。日常の中で見過ごしてしまいそうな感情を、丁寧にすくい上げて並べているようで、その姿勢が音にも言葉にも滲んでいる気がした。歌詞を追っていくと、断定を避けた言葉選びが印象に残り、聴き手それぞれの時間や記憶を置く余地を残してくれる。その余白が心地よく、何度も聴き返したくなる理由のひとつだと思う。
特に惹かれたのは、感情の高まりを無理に盛り上げないところだ。静かなまま進んでいくのに、気づけば胸の奥が少し温かくなっている。そんな穏やかな高揚感が続いていく。派手さではなく、積み重ねによって生まれる説得力があり、聴くたびに受け取るものが変わっていく感覚もあった。
今回あらためて触れてみて、これからの表現にも自然と期待が向いた。今後どんな言葉を選び、どんな景色を見せてくれるのか。日常の中でふと思い出して聴きたくなる存在として、これからも静かに追いかけていきたい。鈴木千絵さんの歌は、そう思わせてくれる余韻を確かに残してくれた。
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