OTONOVA予選の第18ブロックAを拝見いたしました。 今回は、楽器の音色が心地よい大人な演奏から、若さ溢れるバンドまで、非常にバラエティ豊かな顔ぶれで楽しませていただきました。

まず、私の耳を喜ばせてくれたのが「井上知己」さんであります。 スタジオでお二人でギターを演奏されている動画でしたが、これが実に渋くて良いのです。 クラシックギターと、エレキギター（テレキャスターでしょうか）の組み合わせで、ファンクのような、あるいはブルースのような泥臭さも感じる楽曲。 井上さんの渋めの歌声が、乾いたギターの音色によく合っておりました。 派手な演出はありませんが、確かな技術と音楽への愛を感じる、大人の演奏でございました。こういう音楽を、お酒を嗜みながら生で聴けたらどんなに良いかと思いました。

続いて、「meryclo」さん。 こちらは女性ボーカルのバンドで、ミュージックビデオの映像美に目を奪われました。 暗い倉庫のような場所で、間接照明を使った演出がなされており、淡く幻想的な映像が楽曲の雰囲気を盛り上げておりました。 楽曲自体も、非常に聴きやすいJ-POP系のメロディで、ボーカルの方の歌声が映像の世界観と相まって、美しく響いておりました。現代的な映像センスと、普遍的な歌の良さが融合していて感心いたしました。

「ラストランプ」さんは、ガールズバンドのようですが、演奏の実力はかなりのものでした。 大きなライブハウス（箱）で演奏している動画でしたが、堂々としたパフォーマンスに驚かされました。 ボーカルの方の、絞り出すような歌声が良いですね。エモーショナルで、聴く者の心を揺さぶる力があります。 メロディも非常にキャッチーで聞きやすく、これはすぐに人気が出そうだなと感じました。若い方々がこうして懸命に音楽に向き合う姿は、いつ見ても清々しいものです。

「ABOVE THAT ROOF」さんは、男性ボーカルのバンドで、現代的なテクニックを見せてくれました。 ギターの方が、指板を叩くように弾く「タッピング」という奏法でリフを弾いておられ、その跳ねるようなリズムが心地よい。 演奏は非常にタイトで難しいことをやっているようですが、ボーカルの方はあえて脱力したような歌い方をしており、その対比が面白かったです。スタジオでの演奏動画でしたが、彼らの音楽センスの良さが伝わってきました。

渋いギターの音色に酔いしれ、若い方々の情熱的なバンドサウンドに元気をもらう。 音楽の楽しみ方を再確認させてくれるような、味わい深いブロックでございました。 皆様の今後のご活躍を、心よりお祈り申し上げます。