つづみたかおさんは、ギタリストとしての高い演奏技術と、歌手としての内省的かつ繊細な表現力を併せ持つ表現者である。彼の演奏において特筆すべき点は、ギターを伴奏にとどめず、歌と対等な語り部として機能させている点にある。アルペジオや弱音のニュアンスを巧みに用い、音と音の間に生まれる余白を積極的に表現に取り込む姿勢は、聴衆の想像力を喚起する効果を持つ。

歌唱面では、過度な感情表出を避け、語るように紡がれるフレーズが印象的である。声量や技巧で押すのではなく、言葉の輪郭や息遣いによって感情を伝えるスタイルは、彼自身の音楽観と強く結びついている。特に、日常の中に潜む感情や、別れや記憶といった普遍的主題を扱う際の抑制された表現は、聴き手それぞれの経験と重なり合う余地を残している。

パフォーマンス全体を通して、つづみさんは「聴かせる」よりも「共に在る」ことを重視しているように見受けられる。視線、身体の動き、沈黙の扱いに至るまで一貫した美意識が感じられ、舞台上での存在感は静かでありながら確かな説得力を持つ。ギターと歌、言葉と沈黙が有機的に結びついた彼の表現は、今後さらに深まりと広がりを見せる可能性を十分に備えている。