OTONOVA2026セミファイナルEブロックに進出されたMACKYさんの音楽には、今の時代を生きる人間の「実感」がそのまま刻まれていると感じました。聴いていてまず印象的だったのは、無理に背伸びをせず、自分の立っている場所から世界を見つめ、その視線を言葉とビートに落とし込んでいる点です。その姿勢は、長く音楽に関わってきた大人のリスナーほど深く共感できるものだと思います。

幼少期からバンド活動を続け、ミクスチャー文化に影響を受けてきた背景は、楽曲の随所に表れています。ジャンルの枠に収まりきらないビートの構成や、ラップと歌の間を行き来するような表現は、単なる流行ではなく、培ってきた音楽体験の積み重ねから生まれているものだと感じました。2024年からビート制作を始めたとは思えないほど、音の選び方や間の取り方が的確で、音楽的な感覚の確かさが伝わってきます。

特に印象に残ったのは、「日常」をテーマにした歌詞の説得力です。仕事に追われる毎日、思い通りにいかない現実、誰にも見せずに抱えている小さな疲労感。そうした感情を真正面から描きながらも、決して暗さに沈み切らないバランス感覚が見事でした。頑張れと強く背中を押すのではなく、「それでも続けているあなたは間違っていない」と静かに語りかけてくるような言葉が、聴く側の心に長く残ります。

MVや配信を通じて楽曲を発信し、ライブ活動にも積極的に取り組んでいる点からは、音楽を趣味で終わらせず、社会とつながる表現として真剣に向き合っている姿勢が感じられました。日々働きながら生活を続ける人々への応援歌を目指しているというスタンスは、今の日本において非常に価値のあるものだと思います。

OTONOVA2026のセミファイナルという舞台で、MACKYさんの音楽が多くの人の耳と心に届くことを強く願っています。派手さではなく、確かな言葉と音で勝負する姿勢こそが、これからの音楽シーンに必要な存在だと感じました。今後のさらなる進化と活躍を、心から応援しています。