2次予選突破、誠におめでとうございます。

結果を見てまず感じたのは、「この方は勢いだけで進んでいるわけではない」ということでした。音楽の世界では若さや瞬間的な注目が先行しがちですが、KuLUさんの表現には、それとは違う芯のようなものを感じます。

動画を拝見していて印象に残ったのは、歌や言葉を“消費されるもの”として扱っていない点です。一つひとつのフレーズに雑さがなく、感情の置き所を自分で理解した上で届けているように思えました。高校生という立場でありながら、誰かの真似をしている感じが薄く、きちんと自分の輪郭を持っている。その点は簡単なようで、実は非常に難しいことです。

また、ステージを直接見ていなくても、映像越しに伝わってくる集中力があります。視線、声の出し方、間の取り方に無駄がなく、「今、何を伝えたいか」がぶれない。その安定感は、経験の量というより、向き合ってきた密度の濃さから生まれているのではないでしょうか。

2次予選突破は、評価されるべき通過点です。ただ、この段階で満足してしまうタイプには見えません。むしろ、次のセミファイナルでどんな変化を見せてくるのか、その一点に意識が向いているように感じます。これから先、環境が変わっても、表現の軸を見失わずに進んでいく姿を、静かに見守りたいと思わせてくれる存在です。