OTONOVAの参加者の動画を眺めている中で、成瀬ロイヤルの名前がふと私の目に留まりました。年齢やキャリアを前面に押し出すわけでもなく、それでもどこか覚悟のようなものを感じて再生したのが、最初の出会いです。

正直に言えば、「どんな音楽なのだろう」という軽い興味からの視聴でした。しかし聴き進めるうちに、音がこちらを急かしてこないことに気づきました。無理に若さを装うでもなく、かといって過去を振り返るだけでもない。今の自分たちが鳴らせる音を、大切に選び取っているように感じられました。

成瀬ロイヤルは、「俺たちにはまだデビューアルバムがある」という言葉を掲げ、活動を続けているバンドです。仕事や生活と並行しながら音楽に向き合う姿勢は、楽曲の随所ににじんでいます。大きな理想や夢を声高に語るのではなく、続けてきた時間そのものを音に変えている。その誠実さが、初めて触れた私にも自然と伝わってきました。

YouTubeで公開されている楽曲や映像からは、彼らの「積み重ねてきたもの」の強さが感じられます。オールドロックやポップスの香りをまといながらも、決して懐古的にならず、今を生きる音楽として鳴っている。そのバランスが心地よく、気づけば最後まで聴き入っていました。

成瀬ロイヤルの音楽は、「今からでも遅くない」とそっと教えてくれる存在です。挑戦することや続けることに、年齢で線を引かなくてもいいのだと、言葉ではなく音で示してくれる。初めて知ったバンドでありながら、これからの歩みを見届けたいと思わせてくれる、そんな説得力を持った存在だと感じています。