逸材!
SOUNDNAUTS × OTONOVA 代表決定戦1
開催日: 2025/11/08
また、Mudiaで非常に興味深いイベントが開催されると知りました。「SOUNDNAUTS × OTONOVA 代表決定戦1」とのこと。 「代表決定戦」と銘打つからには、これまでの予選を勝ち抜いてきた、あるいはそれに準ずる実力派のアーティストが集う、非常にハイレベルな戦いになるのでしょう。 元々、音楽はコンクールやコンペティションといった「真剣勝負」の場でこそ、技術と情熱が研ぎ澄まされると知っている(元吹奏楽部員ですので)私としては、こういう「本気」のステージは大好きです。
早速、出演されるアーティストの方々を何組か、予習のために拝見いたしました。 その中で、私の心を一瞬で掴んで離さなかったバンドがいます。 「TOTOJI」というバンド。そして、彼らの「翠翠」という楽曲のミュージックビデオでした。
まず、曲が始まった瞬間に「おや?」と耳を奪われました。 その「拍子」です。 最近のJ-POPやロックで主流の、8ビートや16ビート(4拍子系)とは明らかに違う。これは…ゆったりとした「6/8拍子」、あるいは大きな3拍子のリズムですね。 クラシックで言えばワルツやシチリアーノに使われる、この優雅で、ともすれば牧歌的にも聴こえるリズムを、あえてロックバンドで採用するという。その選曲(編曲)センスに、まず「ただ者ではない」と感じました。
そして、そのゆったりとしたリズムの上に乗ってきた、次の瞬間に、私は完全に心を掴まれました。 「ギターの音」です。 恐らく、フェンダー社の「ストラトキャスター」でしょうか。あの歯切れの良い、しかし強烈に歪ませた(オーバードライブさせた)「あらあらしい」サウンド。 優雅な6/8拍子という「静」の土台の上に、嵐のような「動」のギターが響き渡る。 この、あまりにもアンバランスな組み合わせ。 普通ならば破綻してしまいそうな二つの要素が、TOTOJIの音楽の中では、とんでもない緊張感と、ゾクゾクするような高揚感を生み出している。 これは、見事な「アンサンブル」のバランス感覚だと思いました。
映像にも目を奪われました。特にベーシストの方。 彼が構えている楽器…あれは、先端(ヘッド)がない?「ヘッドレスベース」というものですかね。 私が学生時代に触れていた楽器とは形状が全く違い、非常に機能美にあふれていて、とてもかっこいいです。
そして、曲全体から感じるのは、ただのロックではない、どこか「パンクのような破天荒さ」です。 いつ演奏が崩壊するかわからないような、ギリギリのラインを攻めてくる危うさ。 それなのに、驚くべきは、その上で歌われているボーカルの「メロディ」でした。 彼は、決してシャウトするのではなく、「しっとり」と思いを歌い上げている。 そして、そのメロディラインが…我々40代の耳には、どこか懐かしい「歌謡曲」の響きを持っているように感じられたのです。 ゆったりとした拍子、荒々しいギター、そして懐かしい歌謡曲のメロディ。 これら全てが同居している。 TOTOJIの「翠翠」という曲は、私がこれまで聴いてきた音楽の「ジャンル」という枠組みを、軽々と飛び越えていきました。 「代表決定戦」という舞台に、これほどふさわしい「個性」と「実力」を持ったバンドはいないでしょう。 彼らの演奏が、今から楽しみでなりません。
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