口元と自身の心を隠した人々が行き交う街、池袋。

北口、平和通りの小さなライブハウスで始まった彼らの〝物語〟を知る人はまだ少ない。

ユーナイトグッド。

Vo.小島滉介、Gt.岩出マサシの2人にサポートDr.鳥越万紀雄、サポートBa.の4人編成で彼らの初ライブが幕を開けた。

Vo.小島の力強さと儚さを兼ね備えた唯一無二の歌声によるオープニング。

｢ユーナイトグッドと申します。よろしくお願いします。｣

1曲目｢不結冬｣が始まる。

作詞作曲も手掛けるVo.小島の文学的な歌詞、Gt.岩出が奏でる繊細なメロディと踊るような軽快なステップによる優しく暖かく美しい曲だ。

サポートのリズム隊によるコーラスも心地よく、世界観に合っている。

特にDr.鳥越の終始笑顔を絶やさない情熱的な演奏は観ている観客まで十分に楽しさが伝わってくる。

さらにサポートDr.の鳥越はユーナイトグッドのMVの撮影編集も担当していて、その多才さに驚きを隠せない。

｢同じ1曲だとしても100人いたら100通りの聴き方がある。僕らは僕らの音楽を演るだけ。｣というMCと共に始まった2曲目｢空に辿り着くまで｣

爽快で駆け出したくなるメロディ、切ない歌詞だが韻を踏んだキャッチーな言葉遊びが楽しく今後のライブでも盛り上がること間違いなしの1曲だ。

サビの｢寿司を食べるなら小樽。夏に見るなら、そう、蛍｣という歌詞は気がついたら口ずさんでしまうくらい頭に残る。

終盤リズム隊のコーラスも加わり、盛り上がりが最高潮に達する。

4人が舞台の中心を向き、アイコンタクトをとりながら演奏をする姿を観たとき、彼らの初ライブを生で観ることができているという喜びを実感した。

圧倒的なパフォーマンス、世界観の完成度、これが彼らの初ライブだということが恐ろしく、今後も期待せずにはいられない。

口元と自身の心を隠した人々が行き交う街、池袋。

彼らの〝物語〟が始まったことを知らない人々への｢今に見てろよ。ユーナイトグッドの初ライブ観たことあるんだぜって自慢してやるからな｣という気持ちを隠し、ライブの余韻に浸りながら歩く私の隠れた口元はニヤリと笑っていた。