これからにも期待大
【予選B-2】Movie Grand Prix vol.22
開催日: 2025/11/08
予選ブロックも終盤、【予選B-2】のラインナップに目を通していた時、あるアーティストの音源で、私は思わず「おっ」と声を上げてしまった。「Cultboi」というアーティストだ。
何に惹かれたかというと、その「ギターの音」だ。 イントロから鳴り響いた、あの「テレキャスっぽい音」。私が若い頃、喉から手が出るほど欲しかった、あのフェンダー・テレキャスターの、ジャキッとした、乾いているのに鋭く突き刺さるような、あの音色。 それだけで、もう私は「これは好きだな」と確信してしまった。
そして、そのロックサウンドの上に乗ってきた「男性ボーカル」の声。 これがまた、私の予想を裏切るものだった。 あれだけ攻撃的なギターサウンドが鳴っているのだから、当然、ボーカルもシャウトしたり、がなったりするのかと思いきや、驚くほど「飄々(ひょうひょう)とした」声なのだ。 まるで、ボソボソと独り言を言っているかのような、熱量を感じさせない、冷静な歌い回し。 最初は「なんだ、やる気がないのか?」とさえ思った。
だが、違った。 その冷静で飄々とした歌声で歌われている「歌詞」に耳を傾けて、私はハッとした。 歌われている内容は、信じられないほど「情熱的」だったのだ。 世の中に対する憤りや、叶わない恋への焦燥感、自分自身のふがいなさ。 そういう、若さ特有の、ドロドロとした熱い感情が、そこには溢れていた。
このアンバランスさ。 冷静な「フリ」をしながら、内側ではマグマのような情熱を燃やしている。 これこそが、いかにも「若者の不器用さ」を象徴しているようで、私はたまらなく心に響いてしまった。 我々の若い頃も、そうだった。好きな子の前で、わざと無関心なフリをしたり、本当は悔しいのに「別に」と強がってみたり。 Cultboiの音楽は、そういう、50代の私にもあったはずの「青い」時代を、鮮やかに思い出させてくれた。
気になって、このCultboiというアーティストについて調べてみたのだが、驚くほど「情報がそこまでない」。 もしかしたら、活動したばかりなのかもしれない。バンドなのか、シンガー(ソロプロジェクト)なのかも、判然としなかった。 だが、それにしては、音源の「クオリティは高い」。 このまま埋もれてしまうには、あまりにも惜しい才能だ。 「Movie Grand Prix」という、この大きなチャンスを、ぜひ掴んでほしい。 そう心から願わずにはいられない、魅力的なアーティストだ。
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