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【4年生部門予選】Acappella Grand Slam コロシアムリーグ

開催日: 2025/10/20

「Acappella Grand Slam コロシアムリーグ」の4年生部門予選を視聴した。このイベントは、単なる音楽コンテストとしてではなく、参加者のモチベーションとコンテンツの質を最大化する、非常に巧みなイベント設計がなされていると分析できる。


まず、ゴール設定が明確だ。「AGS全国決勝」の会場を「KT Zepp Yokohama」という、学生にとって具体的かつ魅力的な目標(インセンティブ)に設定している点が秀逸だ。これは参加者の士気を高め、結果としてコンテンツ全体のクオリティを引き上げる効果がある。


次に、部門の細分化。「4年生部門」と区切ることで、「学生生活最後」という強力な物語(ストーリー)を自動的に付加している。この「リミット(希少性)」が、パフォーマンスの熱量と完成度を異常なまでに高める要因となっている。この「最後」という物語は、視聴者の共感や投票行動を強く刺激する。


プラットフォームとしてMudiaを採用し、「審査員投票」と「視聴者投票」を組み合わせている点も重要だ。これは、専門家からの技術的な評価(Quality)と、ファンからの熱量(Popularity)の両方を可視化するハイブリッドな評価システムだ。審査員票はイベントの「権威性」を担保し、視聴者票はプラットフォームの「エンゲージメント」と「収益性(ポイント投票の場合)」を担保する。非常にバランスの取れたエコシステムと言える。


e.s.t.、紅涙、ムゲン逃行、うるう微積分学など、30組以上のグループが参加しており、アカペラという市場の裾野の広さと、学生コミュニティの活発さが窺える。


レポートすべきは、技術レベルの標準化だ。特にボイスパーカッション(ボイパ)とベースの技術は、ハモネプ全盛期と比較して驚異的に向上しており、これらが曲のクオリティを担保する「最低ライン(インフラ)」となっている。 したがって、勝敗を分けるのは、技術的な優劣以上に、「いかに視聴者(投票者)を巻き込み、ファンにするか」というエンゲージメントの部分だ。「DOPE」や「KICKIN'BOUGIE」のような強烈な個性や、「咲き麗」のような世界観の構築。技術は前提として、その上でどのような付加価値(ブランディング)を提示できるかが問われている。このイベントは、音楽のコンテストであると同時に、非常にシビアなマーケティングの実験場でもあると言えるだろう。

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