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【セミファイナルA】Movie Grand Prix vol.23
開催日: 2026/02/14
デジタルデバイスの画面を通じて音楽を享受する際、私たちは音と同時に、そのアーティストが作り出す「視覚的な質感」をも無意識に受け取っています。セミファイナルAにおいて、そのトータルデザインの完成度で圧倒的な存在感を放っていたのが、男性五人組ラウドバンドのMAGENTA OF AMBITIONSでした。
彼らのパフォーマンス動画を一目見て感じたのは、一切の妥協を排したソリッドな美意識です。音の重厚感もさることながら、スタイリッシュな佇まいが音の輪郭をさらに際立たせており、いわゆる「エモい」という言葉の裏にある、ヒリヒリとした感情の揺らぎが視覚的にもダイレクトに伝わってきました。事前に公開されていたミュージックビデオのクオリティがあまりに高く、期待値が上がっていたのですが、今回のセミファイナルの映像でもその洗練されたセンスは健在でした。激しい楽器の応酬の中に、どこか冷徹なまでの冷静さと知性が同居しており、ラウドミュージックというジャンルを一つの現代アートの域まで高めているような、そんな知的な興奮を覚えました。
その一方で、非常に魅力的な「余白」を提示してくれたのがTawashi.さんです。ヒップホップ系のトラックをベースにした彼の音楽は、MAGENTA OF AMBITIONSさんの密度の高い音像とは対照的に、あえて「詰め込まない」ことの美学を感じさせてくれました。男性ならではのゆったりとしたリズム感と、力の抜け具合が絶妙なボーカル。そのアンバランスさが絶妙な心地よさを生んでおり、画面越しに視聴していても、部屋の空気が少しだけゆっくりと流れ出すような感覚に陥りました。
タイトに構築されたバンドアンサンブルと、ゆるやかで自由なラップスタイルの対比。この二組に共通しているのは、自分たちの「見せ方」を完全に把握し、動画という限られた枠組みの中で、最大限の個性をキャンバスに描き出している点です。音楽が耳で聴くものから、五感で感じる「体験」へと変わっていくプロセスを、このお二人の動画は鮮やかに証明してくれました。デジタルなプラットフォームという環境を逆手に取った、非常に現代的で質の高いクリエイティビティに、同じ表現に関わる者として深い感銘を受けました。
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