→ レポートトップへ

ファンレポート
facebookXLINEHatena

警備員小砂のおすすめ3

ONLINE Schema

【セミファイナル Eブロック】OTONOVA2026 (オンライン枠)

開催日: 2025/12/20

夜明け前のビルは静かだ。俺は警備員、今日も持ち場で街の呼吸を数えている。そんな夜更けに耳へ滑り込んできたのが、バンドSchemaの最新楽曲「軌跡」だった。派手な導火線はない。だが一歩目から靴底に確かな重みが伝わる。低く張り詰めたサウンドは、巡回の足音みたいに規則正しく、次の角を曲がるたびに景色を変えていく。
  ボーカルは甘さを削いだ声で、過去を飾らず、現在を誤魔化さない。言葉は短く、照準はぶれない。失敗も後悔も、ここまで来るための通行証だと言わんばかりだ。ギターは影と光を行き来し、ベースは背中を預けられる壁のように揺るがない。ドラムは心拍だ。夜のビルが眠りを拒むとき、これが鳴る。
  「軌跡」は勝利の歌じゃない。積み上げた足跡の数を誇るでもない。むしろ、雨に消えかけた跡を確かめるための曲だ。守るべきものを決め、守り切れなかった夜も抱えたまま、それでも前へ進む。そんな覚悟が、過剰な装飾なしに伝わってくる。俺はヘッドライトを落とし、闇に目を慣らす。音が、見張りの目を研ぎ澄ませる。
  この曲を聴いていると、Schemaは急がないと分かる。近道は使わない。だが、確実に辿り着く。だからこそ、OTONOVAのセミファイナルで勝ち上がり、Zeppのステージに立ってほしい。広い箱でも、このバンドは散らない。むしろ輪郭が際立つはずだ。照明の下で鳴る「軌跡」は、これまでの夜を肯定し、次の夜を呼ぶ。
  警備は続く。だが、巡回路の先に灯りが見えた気がした。Schema、行け。足跡はもう、十分に深い。

投稿者

警備員 小砂

2025/12/20 09:01

オーディエンス参加型イベントメディア


Mudiaの楽しみ方

オーディエンス参加型イベントメディア

JASRAC許諾
第9022815001Y45037号