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だからこそ伝わるものがある。

【セミファイナルA】Movie Grand Prix vol.23

開催日: 2026/02/14

オンライン上で展開されるオーディションという場に触れていると、つい若さや一瞬の輝きばかりに目を奪われがちになります。しかし、セミファイナルAの動画を一つひとつ丁寧に視聴していく中で、私は自分のその浅はかな考えを深く反省することになりました。音楽の正解というのは、決して眩いスポットライトを浴びる若さだけにあるのではなく、もっと静かで、それでいて確かな「人生の重み」の中にも宿っているのだと、強く気付かされたからです。


 それを最も象徴していたのが、Michiruさんの歌声でした。画面に映る彼女の姿は、言い方は少し難しいかもしれませんが、決して「若さ」を売りにしたキラキラとしたものではありません。しかし、彼女がひとたび歌い出した瞬間に届いたのは、何十年という歳月を丁寧に過ごしてきた女性だからこそ出せる、深くしっとりとした情緒でした。その歌声には、私のような世代にはまだ到底及ばない、経験に裏打ちされた説得力と強さが宿っていました。何気ない日常を積み重ねてきたその喉から放たれる旋律は、派手な演出がなくても、観客の心に静かな波紋を広げていくような、重厚なドラマを感じさせてくれるものでした。


 そして、その「等身大であることの尊さ」を別の形で見せてくれたのが八木佑美さんです。「にじのママ」として日々の生活を慈しみながら、ピアノ一台で紡ぎ出される彼女のポップソングは、私たちの隣にそっと座って語りかけてくれるような、不思議な親密さに満ちていました。ピアノ弾き語りという飾らないスタイルだからこそ、彼女の純粋な優しさや、日常を愛おしむ視線が、嘘偽りなく伝わってきます。それは特別でドラマチックな出来事ではなく、何気ない朝や、ふとした瞬間の心の揺れを音楽に変えたもの。だからこそ、聴いている私の心にこれほどまでに深く馴染んだのだと思います。


 若さという一瞬の火花も素敵ですが、歳を重ねたり、ありふれた毎日を過ごしたりする中で生まれる音楽にこそ、誰にも真似できない無数のドラマが潜んでいる。Michiruさんと八木さんという二人の表現者に触れたことで、音楽の深さとは、その人が歩んできた「時間」の輝きそのものなのだと、改めて教えられた気がいたします。

投稿者

e6

2026/02/16 00:31

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