「どうしたら、応援してくれる人は増えるのだろう」

そんな素朴な問いに、真正面から向き合う時間だったように感じました。

今回の「Make a Story～アーティスト戦略会議～『ファンを増やしたい』」は、答えを急ぐ場ではなく、考え方そのものを整えていくような、静かな対話の場だったと思います。

なかちーさんのお話から伝わってきたのは、戦略という言葉から想像されがちな“計算”よりも、“人との向き合い方”を大切にしている姿勢でした。

ファンを増やすことを目標に掲げながらも、その過程で自分自身を見失わないこと、そして応援してくれる人の存在を軽く扱わないこと。

その一つひとつが、とても丁寧に語られていた印象です。

特に心に残ったのは、「誰に届けたいのかを曖昧にしない」という考え方でした。

たくさんの人に届くことよりも、ちゃんと届く人を思い浮かべること。その積み重ねが結果として広がっていく、という感覚は、焦りがちな活動の中で立ち止まるきっかけを与えてくれます。

また、発信についても“無理をしない”という視点が印象的でした。常に何かを発信し続けなければならない空気の中で、自分の言葉が追いついていない時は、無理に声を出さなくてもいい。

そうした余白を許す考え方は、長く活動を続けていくうえで、とても大切なことだと感じました。

ファンとの関係性を「数」ではなく「信頼」として捉えている点も、優しくて現実的だと思います。一度のきっかけで急に増えるものではなく、日々の積み重ねの中で少しずつ育っていくもの。そのプロセスを信じられるかどうかが、活動の軸になるのだと感じました。

この戦略会議は、何か特別なノウハウを得る場というよりも、自分自身の在り方を再確認する時間だったように思います。自分が大切にしたいもの、譲れない感覚、続けていきたい形。それらを言葉にすることで、自然と進む方向が見えてくる。

そんな穏やかな気づきがありました。

「ファンを増やしたい」という言葉の裏にあるのは、誰かとつながりたいという、とても人間らしい願いなのだと思います。

その願いに誠実であることこそが、いちばんの近道なのかもしれません。今回のお話は、そう静かに教えてくれる時間でした。