OTONOVA 2026【ライブハウス枠】セミファイナルBという、非常に高い壁に挑む田中極斗さんのステージを心待ちにしております。

田中さんのプロフィールを拝見し、まず胸を打たれたのは、「6年間勤めた会社を辞め、音楽に専念する」という大きな決断です。社会人としての6年という月日は、仕事の責任も重くなり、ある程度の安定が約束される時期でもあります。その場所をあえて離れ、表現の世界で生きていく道を選んだその勇気は、決して安易なものではなく、大人としての深い葛藤を乗り越えた末の「覚悟」であったと拝察いたします。

日々の活動の拠点とされている路上ライブは、聴き手の反応がダイレクトに返ってくる、もっともシビアで、もっとも誠実さが求められる場所です。足を止めてくれる保証のない場所で、毎日歌を作り、歌い続けてきたことで磨かれた歌声には、洗練された技術以上の言葉の重みと説得力が宿っています。会社員として過ごした時間、そして路上で孤独と向き合ってきた時間が、今の田中さんの音楽に唯一無二の深みを与えているのだと感じます。

大人になってから夢を追いかける姿は、時に周囲から無謀だと言われることもあるかもしれません。しかし、安定を捨ててまで届けたいメッセージを持つ人が放つエネルギーは、何物にも代えがたい輝きを放ちます。その歌声は、同じように日々の生活の中で葛藤し、いつか諦めてしまった何かを抱えている私たちの心に、力強く、優しく寄り添ってくれます。

このセミファイナルという大舞台で、田中極斗という一人の表現者が、その人生を懸けて奏でる剥き出しの音楽が聴けることを楽しみにしています。「あの日、道を選び直して本当に良かった」と確信できるような、最高のパフォーマンスを期待しております。あなたの歌が、会場や配信で見守る多くの人々の明日を照らす光となることを信じて、心より、熱く応援させていただきます。