強烈な印象を残してくれたのが、関東4年目同期インカレヤロバンの GRRREATマックスなオレたち、通称「グレオレ」でした。登場前の紹介文からすでに只者ではない空気をまとっていましたが、実際のパフォーマンスはその期待をはるかに超えるもので、会場の空気を一気に持っていく力がありました。

題材に選ばれていたのは、大ヒットインド映画「RRR」の楽曲。原曲自体が持つ圧倒的なエネルギーやスケール感を、アカペラという表現方法でどう昇華するのか注目していましたが、グレオレはその難題に真正面から挑み、見事に自分たちのものにしていました。リズムの迫力、コーラスの厚み、声だけとは思えない音の情報量に、演奏が始まった瞬間から一気に引き込まれました。

特に印象的だったのは、メンバー全員が全身で音楽を楽しんでいる姿です。ただ正確に歌うだけではなく、身体の動きや表情からも「この曲が好きでたまらない」「このステージを全力で楽しみたい」という気持ちが伝わってきました。その熱量が観客にも伝播し、会場全体が同じテンションで盛り上がっていく感覚がありました。まさに“GRRREATマックス”という言葉がぴったりのステージだったと思います。

また、4年目同期という背景も、このパフォーマンスに深みを与えていました。長い時間を共に過ごしてきたからこその一体感や、声を重ねたときの安定感、アイコンタクト一つで通じ合っているような瞬間が随所に見られ、これまで積み重ねてきた努力と絆を感じました。全国決勝という大舞台で、その集大成とも言える演奏を披露していたことに、大きな説得力がありました。

グレオレのステージは、技術の高さだけでなく、「観る人を楽しませたい」という純粋な気持ちが前面に出ていて、アカペラの可能性や面白さを改めて感じさせてくれました。このメンバーで、このタイミングだからこそ生まれた特別なパフォーマンスだったと思います。最後まで目が離せず、強く記憶に残る一組でした。