予選B-1ブロックは、参加アーティストの音楽ジャンルが非常に多岐にわたっており、いわゆる「混戦模様」の様相を呈しています。 こうした多様なアーティストが集う場においては、全方位にアピールするよりも、「誰に届けたいか」というターゲット層を明確にし、その層に深く刺さるクリエイティブを提示することが有効な戦略となります。

その観点から分析しますと、「appliqué」さんと「FiveLan」さんは、それぞれ対照的ではありますが、非常に優れたターゲティングを行っていると推察されます。 appliquéさんは、「かわいいポップロック」というご自身の最大の強みを、カラフルなビジュアルとハッピーな楽曲で徹底的に強調されています。これは、アイドルファン層や、日常に明るさを求める層に対して、非常に分かりやすく、強力な訴求力を持っています。迷いなく「楽しさ」を提供し切る姿勢は、イベントにおいても強い武器になるでしょう。

対するFiveLanさんは、「物悲しいロックバラード」と「共感を呼ぶ歌詞」を前面に押し出しており、日々の生活に疲れや葛藤を抱える層（おそらくは同世代の社会人層など）にターゲットを絞っているように見受けられます。夜の街を舞台にしたMVも、そのターゲット層が抱く心象風景と合致しており、高い共感を生む効果が期待できます。

また、異彩を放つ「MAUDIE featuring Shingo Matsuda」さんの存在も無視できません。 前衛的とも言える奇抜でサイケ感のある映像と楽曲は、万人受けはしないかもしれませんが、「他とは違うもの」を求めるコアな音楽ファン層には強烈に刺さる可能性があります。ニッチな層を確実に囲い込むことで、上位進出を狙う「ランチェスター戦略」的なアプローチとも言えるかもしれません。

各アーティストがどのような戦略で自身のファンベースを拡大し、票を獲得していくのか。引き続き注目していきたいと考えます。