Mugiは、素直な感情を音に変えることを恐れないシンガー／アーティストであり、彼女の楽曲は、派手な演出や過剰な装飾に頼ることなく、言葉・メロディ・声そのものでリスナーの感情に触れてくる。Mugiさんの楽曲に共通して感じられるのは、「感情を整理するために歌っている」のではなく、感情の揺らぎごと、そのまま差し出しているような誠実さで、喜びや前向きさだけでなく、迷いや弱さ、立ち止まる瞬間までもが楽曲の中に自然に存在している。歌声は決して押しつけがましくなく、むしろ静かで、距離が近い。イヤホン越しに聴くと、まるで独り言を共有してもらっているような感覚になる瞬間がある。その親密さが、Mugiの音楽を「BGM」ではなく、心の内側に残る音楽にしており、楽曲構成も特徴的で、サビで一気に感情を爆発させるというより、少しずつ気持ちがにじみ出て、気づいた頃には胸に残っているタイプの楽曲が多い印象で、聴き終えたあと、すぐに感想が言葉にならない、その余韻こそが、Mugiの音楽の強さだと言えとおもいます。Instagramなどで見える日常の空気感と、楽曲の世界観が地続きになっている点も魅力だ。「ステージ上の自分」と「普段の自分」を切り分けすぎないことで、音楽が“作品”であると同時に“生き方の一部”として伝わってくる。Mugiさんの感情の機微を丁寧にすくい上げるこの表現は、時間をかけて、確実に必要としている人のもとへ届いていく音楽、流行に迎合せず、自分の速度で、自分の言葉で歌い続ける、それは簡単なようで、いちばん難しくMugiさんはその道を選び、歩き続けておられます。これから先、表現の幅が広がり、経験が音に深みを与えたとき、彼女の楽曲はさらに多くの人の「忘れられない一曲」になっていき、静かだけれど、確かな存在感を持つアーティストととして、セミファイナルも頑張ってください。