「Movie Grand Prix vol.22」の予選B-2ブロックのラインナップを拝見し、予習を進めておりました。このブロックもまた、非常に個性豊かなアーティストが揃っており、どの動画に投票すべきか、嬉しい悲鳴を上げてしまいそうです。 その中で、私の耳に特に心地よく響いた、対照的な魅力を持つ二組のアーティストについて触れさせていただきます。

まず一組目は、「Cultboi」さんです。 彼らの音楽は、非常に「邦楽っぽい」とでも言うのでしょうか、我々の世代にも馴染み深い、ストレートな日本のロックサウンドを感じさせました。 特に気に入ったのが、そのサウンドの「質感」です。 非常にカラッとしていて、湿っぽさがない。まるで、空気が澄んできた今の季節（晩秋から冬にかけてでしょうか）にぴったりの、爽快な聴き心地でした。 吹奏楽でも、楽器の音が湿気を帯びて重くなるのを嫌うことがありますが、彼らの演奏は非常にドライで、一音一音がクリアに耳に届きます。このリズムの切れ味は、アンサンブルとしての基礎能力の高さを物語っていますね。

そして、もう一組、全く違うベクトルで惹かれたのが、「狐の嫁入り前」さんというアーティストです。 お名前の和風な響きとは裏腹に、奏でられる音楽は非常に現代的でオシャレなものでした。 夜の都会、ネオンが滲む雨上がりの街角…そんな情景が浮かんでくるような、「チルポップ」と呼ばれるジャンルでしょうか。ゆったりとした、しかし洗練されたビート。 私が普段聴く生楽器のアンサンブルとは違いますが、こういう電子音を含んだサウンドメイクも、一つの現代的な「管弦楽法」なのだなと感心します。 そして、そのオシャレで少し冷たい質感のビートの上に、非常に「甘い」男性ボーカルの声が乗っている。このバランスが絶妙でした。 冷たい伴奏と、温かい歌声。この対比が、楽曲の持つ少しアンニュイな世界観に見事にマッチしていました。

カラッとしたロックサウンドで昼間の爽やかさを感じさせるCultboiさんと、しっとりとしたビートで夜の艶やかさを感じさせる狐の嫁入り前さん。 全く違う「音色」を持つ二組ですが、どちらも甲乙つけがたい魅力があります。本番の投票が楽しみです。