独自のアンニュイな世界観と、懐かしさと新鮮さが両立された没入感あるサウンドが特徴的。以下の４曲は「大人になれない僕たちへ」の特色が顕著に出ています。

『アイロニ』は耳に残るスタイリッシュなメロディでありながら耳馴染みが良く、最初の一音から自然にスッと入ってきます。

分厚くて聴き応えのあるパワフルなサウンドなのに軽やかさを失わない、グルーヴィーな曲調も絶妙。そして、一聴して「これは『大人になれない僕たちへ』の曲だ」とわかる明確な個性があります。

ボーカルは柔らかく聴き心地のいい声質でありながら、繊細な歌い方からパワフルでまっすぐな表現まで幅広く、どの表現も魅力的で引き込まれます……アイロニは特に顕著です。

また、ベースが非常に技巧的。華やかなスラップの良さはもちろん、1つ1つのフレーズがグルーヴィー……職人技とはこうした演奏を指すのだと思います。

特に『アイロニ』ではイントロからリズムが心地よく、流れるように降りていくベースは必聴。是非イヤホン・ヘッドホンで聴いていただきたい１曲です。

https://youtu.be/hl9bZ-RRuig

加えて、曲の展開や表現の豊かさも魅力的。

『弾切れ』は歌詞が非常に示唆に富んでおり、考察が好きな方にはたまらない1曲。2番Aメロのように環境音を取り入れた広がりのある雰囲気も面白い。

個人的に聴きどころと思う箇所が、2番以降の「甘い」の連呼。ボーカルの歌い方が柔らかくて余韻のある雰囲気で、ボーカルの多様な表現力が伺えます。

https://youtu.be/KV0hzsLiWCE?t=92

『サイコーシス』は歌詞の語感の良さや可愛らしい響きにダウナーな歌詞を載せており、このコントラストが曲の印象深さを増しています。

刺激的で厭世的な歌詞でありながら、語感の良さやメロの心地よさで心地よく聴ける……「大人になれない僕たちへ」の個性が際立っている１曲。

https://youtu.be/K1DxNIUpWpc

もちろんギターもエモーショナル。『Midnight Owl』の浮遊感ある雰囲気も没入感があります。後半の間奏はまさに歌うようなギター。おしゃれなのにノスタルジックで、夜にしっとり聴きたくなる曲。

https://youtu.be/4HbSuJn73z8

自然と曲に引き込まれる表現力や、懐かしさとスタイリッシュさを兼ね備えた絶妙なサウンド、そして歌詞の唯一無二の世界観……個性と耳馴染みの良さを両立しているバンドです。

ぜひお聴きください。