アサガヤガールズコレクションのステージで、静かに、けれど確かな熱量を持って届けられたKANAさんのパフォーマンスは、観る者の心に深い余韻を残すものでした。2022年10月のソロ活動開始から3年あまり。月に1〜2回という、一回一回のステージを大切に噛み締めるような活動ペースは、多忙な日常を送る大人のリスナーにとって、非常に誠実で、信頼のおける表現の在り方として映ります。回数をこなすことよりも、その瞬間にどれだけの想いを込めるか。そんな彼女のストイックな姿勢が、阿佐ヶ谷の濃密な空間に鮮やかに立ち上っていました。

印象に残ったのは、3年間の歩みが凝縮されたかのような、安定感の中に時折見せる「剥き出しの感情」の揺らぎです。ソロアーティストとして自分の足で立ち続けることは、決して平坦な道ではありません。しかし、ステージ上での彼女の佇まいからは、これまでのライブ一つひとつで積み上げてきた自信と、音楽に対する揺るぎない愛情が伝わってきました。派手な演出に頼るのではなく、自らの声と言葉で会場の空気を一変させる力。それは、着実に、けれど確実に自らを磨き続けてきた者だけが放つことのできる、本物の輝きです。

大人になれば、自分のために使える時間は限られていきます。その貴重な時間の中で、月に数回だけ選ばれた「表現の場」に足を運ぶ観客にとって、KANAさんの音楽は、日常を少しだけ特別なものに変えてくれる「良質な句読点」のような存在です。阿佐ヶ谷という歴史あるライブシーンの中で、また新たな一ページを刻んだ彼女の姿は、これからも多くの人々の心に寄り添い、静かな勇気を与え続けてくれるでしょう。これまでの軌跡を誇りに、そしてこれからのさらなる飛躍を信じて、彼女が紡ぎ出す次の一音を、深い敬意を持って待ち望んでいます！