今回のイベントでまず感じたのは、会場全体に流れていた落ち着いた集中感でした。パノラマとラボラトリーのお二人が登場すると、自然と空気が整い、音楽と向き合う時間が始まったように感じました。演奏は決して大げさではありませんが、一音一音が丁寧で、音が重なるたびに空間に奥行きが生まれていくのが印象的でした。

ドラマーの坪井洋さんの演奏は、リズムを刻むだけでなく、楽曲の流れや雰囲気をしっかりと支えていました。ヨーロッパでの活動経験を持つという背景もあり、演奏からは落ち着きと説得力が伝わってきました。派手さよりも、曲に寄り添う姿勢が強く感じられ、安心して音楽に身を委ねることができました。

キーボードの森田珠美さんの音色は、ジャズやポップス、エレクトロニカといった要素が自然に混ざり合い、楽曲ごとに違った表情を見せていました。音が多すぎず、余白を大切にした演奏が心地よく、聴く側の想像力を広げてくれるようでした。二人の音が重なった瞬間に生まれる独特の空間は、このユニットならではの魅力だと感じます。

トークでは、「エマージェンザ2022」で日本優勝、世界決勝2位タイという実績についても触れられていましたが、それを誇張することなく、これまで積み重ねてきた音楽活動の一部として語られていたのが印象的でした。結果よりも、音楽そのものを大切にしてきた姿勢が伝わり、だからこそ世界に通じる評価を得たのだと納得しました。

今回のイベントは、音楽を静かに深く味わえる貴重な時間だったと思います。パノラマとラボラトリーがこれからどんな音の景色を見せてくれるのか、今後の活動にも期待しています。