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いい意味で「変」

ライブハウス代々木Barbara【東京】 ッタンタラ

エマージェンザ・ジャパン2026東京予選第1戦

開催日: 2025/12/13

 エマージェンザ・ジャパン2026東京予選第1戦。数々のバンドが登場する中で、ひと際異彩を放ち、会場の空気を一瞬で「ッタンタラ・ワールド」に塗り替えてしまった集団がいました。2011年の結成以来、独自の道を突き進む「唄うインストバンド」ッタンタラさんです。


彼らの掲げるテーマは「アジアン」×「キャッチー」×「変」。その言葉通り、ステージが始まった瞬間に流れ出してきたのは、どこか懐かしいのに、これまでに一度も聴いたことがないような不思議なサウンドでした。サックスやトロンボーン、フルートといった管楽器が縦横無尽に鳴り響き、そこに音頭や民謡のリズムが絡み合う。それはまさに、現代に蘇った「アジアの祭り」そのものでした。


印象的だったのは、その音楽の「心地よい違和感」です。インストバンドでありながら、要所に織り交ぜられるコーラスや歌が、インストゥルメンタルの枠を超えた親しみやすさを生み出していました。小難しい理屈を並べるのではなく、身体が勝手に動き出してしまうような「キャッチーさ」があり、気づけば会場のあちこちで観客がリズムに身を任せて揺れている。これこそが、彼らの目指す「アジア人だからこそできる音楽」の形なのだと肌で感じました。


また、ッタンタラはプロジェクトごとにメンバーが変動する流動的な音楽集団とのことですが、今回のステージでもその編成の妙が光っていました。それぞれのプレイヤーが確かな技術を持ち寄りながらも、決して予定調和には収まらない。次に何が飛び出すか分からないワクワク感、まさに「変」であることを楽しんでいるような自由な空気感が、ライブならではの爆発力を生んでいました。


「変」という言葉は、彼らにとって最高の褒め言葉でしょう。型にはまった美しさではなく、雑多で、エネルギーに満ち溢れ、少しだけ奇妙。そんなアジアの雑踏のような生命力が、彼らの音には宿っています。予選のステージという緊張感のある場を、自分たちの「遊び場」に変えてしまった彼らの精神性に、多くの観客が勇気をもらったはずです。


東京予選第1戦という幕開けの舞台で、これほどまでに強烈なインパクトを残したッタンタラ。一度体感すると、あの独特なメロディとリズムが頭から離れなくなる、中毒性の高いステージでした。ジャンルや既存の価値観に縛られず、自分たちのルーツを「祭り」へと昇華させる彼らの挑戦は、これからも続いていきます。


次はどんな「変」で私たちを驚かせてくれるのか。ッタンタラが巻き起こすアジアン・カオスの渦に、これからも期待せずにはいられません。最高の時間をありがとうございました!

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