パノラマとラボラトリーさん最高
『音楽ラバーのたまりbar vol.10』 presented by パノラマとラボラトリー
開催日: 2025/12/12
今回のパノラマとラボラトリーさんのステージは、その構えをいい意味でほどいてくれました。
演奏が始まった瞬間に感じたのは、音がとても自由に動いているということです。
決められた形に収まろうとせず、それぞれの音が自分の役割を楽しんでいるように聴こえました。ドラムはただリズムを刻むだけではなく、曲の流れを引っ張ったり、時には空気を変えたりしていて、演奏全体の土台としてしっかり存在していました。
キーボードの音は、場面ごとに表情を変えながら、空間を少しずつ塗り替えていくようでした。
気づくと音の景色が変わっていて、その変化がとても心地よく感じられました。音が増えてもごちゃごちゃせず、むしろ広がっていく印象がありました。
そして、歌声が入った瞬間、曲の中に人の気配がはっきりと現れます。まっすぐで若さを感じる声なのに、軽すぎず、言葉がちゃんと意味を持って届いてくるところが印象的でした。
強く歌う場面では感情がそのまま伝わり、静かな部分では息遣いまで感じられるようで、自然と耳を傾けてしまいました。
歌詞も、難しい表現を使っているわけではないのに、情景が浮かびやすく、聴きながら自分の記憶や気持ちと重ねてしまいます。物語を押しつけてくるのではなく、そっと差し出してくるような感じがあり、聴く側に委ねてくれているように思いました。
3人それぞれが違う方向を向いているようで、音楽になると一つの流れになる。そのバランスがとても不思議で、だからこそ目が離せませんでした。実験的と言われる音楽でも、難しく感じなかったのは、どこかに人の温度があったからだと思います。
音楽ラバーのたまりbarという近い距離感の中で、パノラマとラボラトリーの音楽を体験できたことは、とても贅沢でした。聴き終わったあと、強い余韻が残るというより、「また別の日に聴いてみたい」と思わせてくれる感覚があります。その時には、きっとまた違う景色が見えるのだろうと、そんな期待が自然と生まれました。
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