全国から最強のアカペラグループが集まる「Acappella Grand Slam」の決勝戦。会場は独特の緊張感に包まれていて、観ている私たちまで息が詰まりそうでした。でも、カプチーノさんがステージに立ち、最初の和音が響いた瞬間、その場の空気がふんわりと解けていくのが分かりました。

グループ名の「カプチーノ」そのままに、歌声は泡のようにきめ細やかで、一口飲めば体の芯から温まるような、そんな優しさに溢れていました。バラード部門ということもあって、派手な演出や激しいリズムがあるわけではありません。でも、ただ「声」だけで、ここまで人の心を揺さぶることができるんだと、私は自分の価値観をひっくり返されたような気分になりました。

特に心に刺さったのは、カプチーノさんが大切にしている「懐かしくてほんのり暖かいうた」という言葉です。まだ10数年しか生きていない私でも、歌を聴いていると、幼い頃の夕暮れ時や、大切な人と過ごした穏やかな時間を思い出して、胸の奥がツンと熱くなりました。それはきっと、彼らが技術を磨くだけじゃなく、一音一音に「心を込めて」うたっているからだと思います。歌詞の一言一言が、まるで自分に向けられた手紙のように届いてきました。

私たち高校生は、毎日テストや進路、将来のことで頭がいっぱいで、心の余裕をなくしがちです。でも、カプチーノさんのハーモニーは、そんな私の「頑張りすぎている部分」を優しくマッサージして、解きほぐしてくれるようなパワーがありました。ただ歌が上手いグループはたくさんいるけれど、聴く人の心に寄り添い、こんなにも「大丈夫だよ」と言ってくれるような歌をうたえる人たちは、そう多くないと思います。

4年生部門ということもあり、これが一つの大きな集大成だったのかもしれません。ステージで見せた一瞬の表情や、重なり合う声の絆から、これまでの4年間どれだけ真剣に音楽と、そして仲間と向き合ってきたかが伝わってきました。その姿は、将来に迷う私にとって、最高にカッコよくて、眩しすぎる目標になりました。

カプチーノさん、最高に幸せな時間を本当にありがとうございました！皆さんの歌声は、私のプレイリストの中で、これからもずっと「心のサプリ」として残り続けます。いつか私も、皆さんのように誰かを温められる人になりたいです。これからも、その素敵な「うた」を届けてください！