「歌降る夜 vol.9」に出演された福岡未希さんのステージは、イベント全体の流れの中でも、特に心に残る時間でした。福岡出身のシンガーソングライターとして、都内のライブハウスや路上ライブを中心に活動されていると伺っていましたが、その活動の積み重ねが、ステージの随所から自然と伝わってきました。

歌い始めると、会場の空気がゆっくりと整っていくような感覚があり、無理に引き込もうとするのではなく、歌そのものの力で聴き手との距離を縮めていく姿が印象的でした。歌声は柔らかく、それでいて芯があり、言葉一つひとつを丁寧に届けようとする意識が感じられました。

また、自主企画で定期的にワンマンライブを開催しているという活動スタイルにも、音楽に対する誠実さを感じます。自分の表現と真剣に向き合い続けてきたからこそ、今回のステージでも落ち着いた佇まいと安定感のあるパフォーマンスにつながっていたのだと思います。

「歌降る夜」というイベント名の通り、静かに心に降り積もるような歌の時間で、派手さはなくとも確かな余韻が残りました。今後のライブやワンマン公演で、さらに深まっていく福岡未希さんの表現に触れてみたいと感じました。