ロックを生きる「MAD JAMIE」に見るアイドルの姿は
2023年5月16日、恵比寿LIQUIDROOMにて、その衝撃は起きた。
今までアイドルのステージを見たことは数回程度。そんな自分にとって、アイドルとは先人たちが積み上げてきたアイドル像をもとに、理想のパフォーマンスを作りあげ魅せる人たちだと、偏見があった。
しかし、MAD JAMIEにそのアイドル像はなかった。
「感情線」の性の通り、彼女の歌は、旋律をなぞるだけではなく、歌に込められた言葉を突き刺さるくらいにオーディエンスのもとに届ける。(あと、余談として書くにはもったいないのだが、その歌が抜群にうまい)
そして曲に合わせて踊る姿は、はつらつでありながら妖艶さを垣間見せることもあり、まさにアイドル本来の意味である偶像と言えよう。
かと思えば、MCで時折見せる柔らかな姿は「あくび」という名前のイメージそのものだ。
そして、最大の魅力とも言えるのは「常に前を向き続けていること」である。
この日に至るまでにMAD JAMIEには様々な出来事があったと聞く。それでもMAD JAMIEは自分を、自分を見てくれる人たちを信じて、もっとたくさんの人に、その歌を、生き様を届けようと、ステージに立ち続けている。
そして共に生きろと、受け取る側の心が痛くなるくらいに力強く伝え続けてくるのだ。
その姿に、自分の中にあったアイドルへの偏見は見事に打ち砕かれた。
MAD JAMIEはロックであり、アイドルという道の上を歩いているようには見えない。しかし、MAD JAMIEが、感情線あくびが歩く道は、結果アイドルへと変わっているのだ。
突き進む道をアイドルへ変える姿と、心を突き刺す想いが、より多くの人に届くことを願っている。
2023/09/01